紅一点ボーカル、デボラ・ハリー ( Deborah Harry ) 率いる米国のパワーポップ系5人組。60年代的感覚も引き継いだサウンドですが、時代が時代だけに一般的にはニューウェイヴ系バンドとして認識されています。同時代に活躍したパティ・スミスが NY パンクの硬派なお母さんならば、デボラ・ハリーは NY パンクの軟派ママ(笑) 当時歌手のみならず女優としても華やかなセレブ活動を展開したデボラ嬢は、実は30代になってようやく成功を手にしたという苦労人でもありました。 マイアミ出身のデボラは歌手としての成功を夢見て、60年代後半にニューヨークへと上京。ラジオ局の秘書やウェイトレスやダンサーなど様々な仕事を経験し、やっとこさ The Wind In The Willows なるフォーク・バンドで音楽活動はスタート。73年には The Stilettos の一員となりましたが、そのバックバンドのギタリストでデボラのボーイフレンドだったクリス ( Chris Stein ) らと共に Angel And The Snake を結成。直ぐにバンド名を改め76年に Blondie となります。(ちなみに Blondie というバンド名は、あるトラック運転手がブロンド髪(染めた)のデボラをそう呼んだことに由来するらしい。) 彼女たちは直ぐに、かの The Velvet Underground も出演したナイトクラブ 「 Max's Kansas City 」 のレギュラーバンドとなり、Private Stock レーベルと契約して76年にデビューアルバムをリリース。その後の経緯は Youtube の動画と共にご紹介しましょう。 |
この後バンドは短い休息期間に入り、その間にデボラとキーボードのジミーはソロアルバムを発表。1982年にバンドは再び集まり、6th アルバム 『 The Hunter 』 をリリースしますが、この頃にはバンドの人気に陰りが見え始め、めぼしいヒット曲も生まれず。また時を同じくしてギターのクリスが白血病にかかっていると診断され、メンバーの結束力は急激に弱まり、同年にバンドはあっさり解散してしまいました。 ブロンディ解散後のデボラはソロ活動に入り、ソロアルバム制作のほか様々な音楽プロジェクトに関わってきました。また、音楽活動を繰り広げるかたわら女優として映画にも数多く出演し、現在に至るまで出演した映画の数は30をゆうに超えます。 90年代に入ってブロンディに対する再評価の機運が高まる中、97年にバンドは単発的なライブを披露。この勢いで、かつてのラインナップから若干のメンバーチェンジを伴って98年に遂にブロンディは再結成を果たしました。翌年リリースの新作 『 No Exit 』 は全英3位と、その人気健在ぶりを世に知らしめました。2003年には再結成第2弾アルバム 『 The Curse Of Blondie 』 を発表し、2008年現在もバンドは現役活動中です。還暦を越えたデボラ・ハリーは、まあ流石におばあちゃんの域ですが、そーんなに昔と雰囲気が変わってないんですね。凄いというか、恐ろしいというか。 ・・・さて、それはさておきアルバムの紹介をば。 |
1998年 コンピレーション盤 |
Atomic: The Very Best Of Blondie ブロンディはコンピ盤が多すぎて溺れそうですが、こちらは98年に発売のベストアルバム。管理人が持ってる唯一のブロンディのアルバムです。オリジナル・アルバム集める根性は無いんですけど、どうせバンドが軟派パンクなんだから集める方も軟派なノリでいいかな〜って(違う) 白状しますと、このアルバム入手した当時管理人はブロンディの存在を全く知らなくて、地味男たちに囲まれて光を放つデボラ嬢のジャケット、あのいかにもな紅一点ぶりが何となく気になって、どんな音楽なんだろ〜って試聴してみたんです。そしたら、うわぁめっちゃ胸キュンパワーポップ! メロが抜群にキャッチー! って感動しまくって、後になってからポストパンク/ニューウェイヴとしての存在価値に気付くという有様。ってか、リアルタイムで聴いた人たちもパンク云々の音楽性の前に、デボラ嬢の存在に先に惹かれたんじゃねーかと想像します。まあそんな訳で、入門編として便利なヒット曲満載の一枚。デボラ嬢は艶やかなルックス面が多く取りざたされる反面、その歌唱力が賞賛されることは少ないようですが、この素人っぽさもやんちゃで下世話なバンドの魅力を引き立たせるものではないかと。テクノ、ジャズ、レゲエと雑食欲は旺盛な割には、収録曲の中にストレートなバラード曲がゼロで、ブロンディというバンドを物語っているようで興味深いです。 |
注目曲 : #18 「 X-Offender 」 バンドの記念すべき 1st シングル曲。パンキッシュな疾走感とクラシカルなキーボード音、そしてポップな歌メロが際立つ佳曲です。 |