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Electronic


 元スミスのジョニー・マーとニュー・オーダーのバーナード・サムナーが夢の共演!(ベタ) ということで、マンチェスターが誇る二大バンド出身の二人による電子音愛好デュオ。 ジョイ・ディヴィジョンの影はどこえやら、激ポップなダンス・ロックを聴かせてくれます。 ジョニー・マーは生粋のギタリストですが、ダンス・ミュージックも好むようです。 結成されたのは88年で、翌89年にシングルを発表してデビュー。 今までに計3枚のアルバムを制作していますが、 2nd作のときはニュー・オーダーの活動休止状態も相まって、 2人は「これは我々のメイン・プロジェクト」と宣言。 しかし近年は目立った活動は無いようです。 二人ともいい年だし、もうさすがに4作目は期待できないかな。 と思ったら、2006年にひっそりとベスト・アルバムがリリースされていました。

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1991年
1st アルバム
Electronic

 ユニット結成第一弾アルバム。中身はニュー・オーダー色の勝ち。バーニーが歌えば何でもニュー・オーダー。あとほら、ジャケットもバーナードの顔が前だし。関係ないか? ダンス寄りのビートに悲しいワタアメのようなメロディーが絡んでくるあたりは、彼の本職と変わりないです。ただし、こっちの方がもう少し気楽な感じ。どの曲も「エレクトロニック」というユニット名に違わず、ピコピコの電子音を聴かせてくれますが、時々ジョニー・マーがしっかりギターを鳴らして自己主張しつつロックの域に引き戻したりして、そこらへんのバランス感覚はさすが。中でも #3 「 Tighten Up 」 は二人の才能の化学反応とでもいうべき秀逸な出来。それ以外にもまずまずの佳曲が並んでいますが、ニューオーダーの大ファンなら、この一曲のためだけでもアルバム買う価値あります。あるかな、わからん。あと他に言及すべきは、最初と最後の曲でバーナードがへなちょこラップを披露している件! しかもその言葉さばきといい、陶酔感といい、もう・・・すんげぇ COOOOOOL!!!! (笑) ラップなら音程ずれる心配もないしね! いやはや、大御所ならではの余裕ですな。
注目曲 : #7 「 Soviet 」
 唯一のインスト曲。文字通り「帝国の夢幻」を思わせるイメージ。ニューオーダーの 「 Elegia 」 (3rd収録)ほどではないけど芸術的。

Raise The Pressure

 前作から5年ぶりとなる 2nd アルバム。こちらもバーニーのやさしい歌メロが堪能できるエレポップ作品です。変化としては隠し味程度でブラック・ミュージック風のアレンジがみられることと、軽快なダンスビート・チューンがやや増えたことでしょうか。その一方で冒頭の2曲のようにジョニー・マーのギターが主役となるギターポップ・チューンもあり、それらが一枚のアルバムの中で違和感無く同居しているあたりは 1st と一緒。ゆえに作風としては劇的な変化はなさそうでう。  が、なぜかしら、自分はこのアルバムどうも好きなれないのです。何つーか、ユルい。ヌルい。軽い。おかしいなーと思って色々考えた結果、前作はぎりぎりで「80年代ポスト・パンク」作品であるが、本作は「90年代ブリット・ポップ」感覚にどっぷり浸かった作品である、という結論で合意に達しました(根拠なし)。個人的にどうもブリット・ポップ勢には馴染めなくて、ゴメン。まあこのアルバム、当たり障りのない無難な作りになってしまいましたが、「温かみ」とか「癒し」の力はアップしてるので評価は人それぞれ。


1996年
2nd アルバム
注目曲 : #3 「 Dark Angel 」
 バーナード節全開なダンスチューン。イントロのオーケストラ音は「意味あんのか?」と最初は思ったが、最後まで聴き終わって納得。後半の展開部ではソウルフルな女声ボーカルをフィーチャー。



1999年
3rd アルバム
Twisted Tenderness

 忘れた頃にやってくるエレクトロニック、今度は3年ぶりとなる 3rd アルバム。電子音の素晴らしさを世に広めるべくして結成されたデュオも、ここにきて音楽性がロックの域に接近。シンセの類はまだまだ多用していますが、いわゆる4つ打ちダンス・ビート・チューンはゼロで、テクノテクノした曲も #1 「 Make It Happen 」 と #6 「 Twisted Tenderness 」 の2曲くらい。それに代わって今まで脇役だったジョニー・マーのギタープレイが大々的にフィーチャーされ、随所にロックらしいラウドな音が楽しめる作品に仕上がりました。メロディー・ラインなんかは前にも増してスミス色が強まった気もします。ただ、バーナードの声質やバックのモダンなアレンジに掻き消された感もあるので難しいところか。まあとにかく、このパワフルなサウンドは、長閑な 2nd アルバムと比べるとその差は歴然。年齢的な衰えを全く感じさせない頼もしい内容です。でも、何かが決定的に不足している気がする。それはすなわち、ピーター・フックの高音ベースである(オイ)。やっぱアレがないとな〜。
 蛇足ですが、ジャケットに写っているのは帝政末期ロシアの霊能者 Grigori Rasputin なる人物。オレは最初、バーニーが変装しているのかと思いました。
注目曲 : #9 「 Prodigal Son 」
 イントロとエンディングを飾るエスニックなコーラスが印象的な高速ロック・チューン。これはなかなかカッコイイ。2006年のベスト・アルバムにも収録された曲。