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Fields Of The Nephilim


 シスターズ・オブ・マーシーのお家騒動で混乱を極めた80年代後半の英国ゴスシーンにおいて頭角を現したバンド。シスターズのフォロワーとして人気を集めましたが、黒ずくめのシスターズと違って、ボーカルのカール・マッコイ( Carl McCoy )は、『夕陽のガンマン』 ばりのマカロニ・ウエスタン・ルックがトレードマーク。彼は神話やオカルト信仰にも造詣が深く、かのオジー・オズボーンも影響を受けた魔術師アレイスター・クロウリー( Aleister Crowley )からもしばしば着想を得ているようです。 (アレイスター・クロウリーは、19世紀末にイギリスで創設された近代西洋儀式魔術の秘密結社「黄金の夜明け団」から独立した人物で、タロットファンの間では「トート・タロット」の制作者としても有名。)

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1988年
2nd アルバム
The Nephilim

 UK チャートで14位を記録し、当時のゴシックロックの名盤の一つとして挙げられる彼らの2作目。んまあ、こう言っちゃあアレだけど、当時のゴス/ポジパン作品のクオリティ水準なんて推して知るべしだから(失礼)、過度な期待は禁物。しかし、このアルバムは個人的にシスターズの 1st と同等か、それ以上に楽しめました。音楽的にはゴシックらしいダークな旋律が特徴ですが、ギターサウンドはシスターズより重厚で、あれほど不幸なオーラも漂っていません。ミッションみたいなベタベタな歌唱性も控えめ。カール・マッコイのボーカルはシスターズのアンドリューよりもさらに低音の威勢の良い濁声で、たまにシャウトすると何気にデス声の域。#3 や #5 などパンキッシュな疾走感を伴うと、攻撃力も侮れません。アルバム後半の方は、しんみりまったりとメロディアスな時間帯で、歌心も兼備。バランス感覚は十分なだけに、もう少し強烈な個性があれば、もう一皮剥けたんだろうな〜と思います。
注目曲 : #3 「 Phobia 」
 ウエスタンパンクビートの軽快な疾走感、最高だね。後半部で「ワ゛ァァァッ!!」ってシャウトするところもカッコイイ。

 バンド最大のヒット曲 『 Moonchild 』 。後半で感極まったように声を張り上げるボーカルが、やっぱりシスターズ/ミッションっぽい感じ。曲のタイトルは上述の アレイスター・クロウリーの著書に由来するらしい。
 バンドは91年に一旦解散、カール・マッコイはメンバーを入れ替えて新たに The Nefilim を結成。The Nefilim 名義では1枚のアルバム 『 Zoon 』 を残しましたが、(こちらはインダストリアル・デスメタル的な手法が取られていて、カール・マッコイのボーカルもより攻撃的。) 98年に元のバンド名で再結成し、現在も活動中。