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Hüsker Dü


 1979年に結成された米国ミネアポリス出身のパンクバンド3人組。 ボーカルはギタリストとドラマーの2人が担当しています。 初期は荒々しいハードコアで政治的な歌詞も歌っていましたが、 次第にメロディアスで親しみやすい作風にチェンジ。 Green Day をはじめ、パンク/オルタナ/グランジ・ロックに及ぼした影響は大きく、 1988年に解散するまで80年代の米国パンクシーンを牽引してきた存在です。 なお、パンク畑出身のバンドとしてメジャーレーベルと契約したのは彼らが初めてだとか。

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1982年
ライブ盤
Land Speed Record

 ハスカー・ドゥのデビュー・アルバムは、81年に地元で行われたライブ音源。 ハチャメチャなパンクロックが観客の歓声を挟みながら休み無くメドレー状に放たれる内容で、 26分間でたぶん10曲くらい演奏しているのかな、と思われますが、トラック数はたった2つです。おお、なんと不便な。 音質もよろしくなく、何よりもシンバルの類がジャカジャカ鳴っててウルサイのなんの。 急ぎまくりのドラムに叫びまくりのボーカル。ギターも一応コード云々弾いてるけど、もっと衝動で攻めてくる印象です。 UK パンクも US パンクも何でもござれなごちゃ混ぜサウンドは、炸裂する音のカオス状態。振り切れたパンク度の高さは後期のポップさからは想像できません。 音楽ファンが100人いたら、99人にとってはコレは聴くに堪えない雑音でしょう(笑) 私もその99人の中にもれなく入ります。 さすがにキツイわー。ヘッドホンで大音量で聴くと頭痛を催すこと必至だな。裏を返せば、それくらい本気な極上ハードコア・アルバムで、 筋金入りのファンの間では普通に名盤だそうな。上述の理由で曲紹介は割愛しますよ。

Zen Arcade

 作品としては3枚目でスタジオ録音としては 2nd アルバム。 ハードコア作品としては非常にバラエティ豊かな内容で、高速絶叫ハードコアをはじめ歌メロがキャッチーな曲、アコースティック曲、コーラスが熱い曲、 さらには潤いを与えるピアノ・インストや、テープ逆回転を駆使した実験音楽、そして14分間に渡ってギターとドラムが荒れ狂う最終曲まで様々で、 曲ごとに全く違った趣を呈しています。収録時間は70分にも及び当時のパンクアルバムとしては異例の長さ。 それでも散漫な印象は受けませんね。彼らならではのアートな世界観が貫かれているので、何をやっても大丈夫。 部分的にはデビュー作並みに激しいパートもありますが、曲の輪郭が明確になったので聴きやすさも向上。 ギター音の歪み具合は後のグランジを思わせるし、いわゆる高速2ビートチューンが一切存在しないのも興味深いです。 ハイテンションな前半〜中盤も良いが、後半のムードも素晴らしいなあ。オルタナ派、パンク好き、これは本当に大プッシュです。


1984年
2nd アルバム
大推薦盤
注目曲 : #17 「 Pink Turns To Blue 」
 このアルバムの中では聴きやすいメロディアスな曲で、ソニック・ユースにも近い雰囲気。これはハマりました。



1985年
3rd アルバム
New Day Rising

 3rd アルバム。こちらもハスカー・ドゥを代表する名盤です。 前作の実験色はすっかり影を潜め、今作では小細工無しのストレートなバンドサウンドに回帰。 殆ど全ての曲について、ボーカルとギターサウンドにメロディー性が備わっているので、 もうこの時点で後のメロコア・ブームの到来を予見しているような、別にしてないような、そんな作風。 一曲一曲で捉えても「ハードコア」というよりは「騒々しいメロディック・パンク」てな表現の方が似つかわしい感じ。 なんせ演奏面では多少丸くなっても(終盤は壊れてるが)、ボーカルは以前と変わらず2人ともハイテンションでよく叫ぶ。 時々言葉を成してねぇです。冒頭の 「 New Day Rising 」 の加速度でラストまで駆け抜けるアルバム展開も爽快そのもの。 でも逆に言えば後続に 「 New Day Rising 」 のインパクトを上回る曲が存在しないので、それはそれで残念だったりもします。 そんなこんなで、管理人的は前作の方が好み。
注目曲 : #1 「 New Day Rising 」
 爽快な表打ち連打に続きギターがジュワ〜ンって鳴り出して、間違えねぇ、これぞハスカー・ドゥの音だーって思う(笑) アクセル全開のリードトラック。

Warehouse: Songs and Stories

 オリジナルでは2枚組で発売された 6th アルバム。これがスタジオレコーディングとしては最終作。 作品を出すにつれメロディアスな傾向を強めていった彼らですが、本作はまさにその到達点。 グリーン・デイのボーカル、ビリーがハスカー・ドゥから多大な影響を受けたと語っているのは有名ですが、 確かにこのアルバム聴けばそれも納得ってやつです。メジャーコードを多用したコード進行、ヒネリ過ぎない曲展開、 ツインボーカルを活かした爽やかコーラスワーク。ここでは初期の頃の破壊的な音楽性は皆無で、全曲歌心満載であります。 それでもメロコア以降の若手パンクバンドと決定的に違うのが、何というか、この大人な風格でしょうか。 リリース時点でメンバー全員まだ20代後半なのに、極端に言えば枯れた魅力すら漂ってます (要は陰影ね)。 若さを謳歌するのではなく、むしろ過ぎしたる少年時代を回顧するかのような懐かしさ。ただのポップ化で終わらせないのはキャリアのなせる技ですね。 メロコア・エモ系のファンが、80年代パンクへと遡る際の入口としても最適な、こちらも名作アルバム。


1987年
6th アルバム
注目曲 : #7 「 Could You Be The One? 」
 1st シングル曲。後のグリーン・デイを彷彿とさせるメロディーライン。短めのギターソロが渋くて好き。