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Joy Division


 パンクの嵐が吹き荒れる1977年、英国はマンチェスターにてバーナード・アルブレヒト (後のバーナード・サムナー) (Vo) とピーター・フック (B) が結成。すぐさまイアン・カーティス (Vo) が加わり、Warsaw というバンド名に決定。さらにスティーヴン・モリス (Ds) が仲間に入り、Joy Division に改名。バンドはポストパンクの旗手として人気を高めましたが、米国ツアーを前日に控えた1980年5月18日、イアンが自宅で首吊り自殺を遂げてしまいバンドは消滅。残された男どもは New Order を結成して第二の音楽人生を歩むことになります。 Joy Division に関しては2枚のオリジナルアルバム以外にもベスト盤やライブ盤など多数存在します(めんどくせー)。ましてやオリジナルのシングルを集めるのは大変でマニア向けの作業ですが、私のようなにわかファンなら下の3枚を聴いとけば十分でしょう。

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 バンドの代表曲の一つである 「 She's Lost Control 」 のライブ映像。反復されるお葬式のようなベースラインが印象的で、初期キュアーにも近いミニマルなダークサイケです。ご覧の通りイアン・カーチスのステージ上でのダンスは有名ですが、さすがにコレちょっと怖いだろ(笑)



1979年
1st アルバム
Unknown Pleasures

 1st アルバム。これはバウハウスやキリング・ジョークにも近いゴシック・パンクですね。リードトラックの 「 Disorder 」 など部分的には疾走感や開放感もあったりしますが ・・・やっぱり絶望的に暗いっす。イアンの神経質なボーカル、怨念渦巻くサイキックなギター、そして出口の見えない反復。聴き続けると鬱になってしまいそうです。この時点ではまだテクノ的な味付けは薄く、New Order みたいなダンサブルなディスコ感覚もほとんど芽吹いていない様子。シンセ音はオマケ程度で、楽曲の骨格を担うには至っていません。ただし、リズムトラックが変則的な幾つかの曲は、後の彼らが進む方向性を既に示していると思います。
注目曲 : #6 「 She's Lost Control 」
 上で紹介した曲。このアルバムの中で唯一 『 Substance 』 にも収録されていますが、別テイクです。キーが少し高いのとシンセ音がポコポコいってて、こっちの方が好き。それにしてもこの下降メロディーは心に良くない。

Closer

 イアン亡き後にリリースされたオリジナルアルバム最終作の 2nd 。最初の2曲がそこまで暗くなかったので「あれれ?」と思いましたが、後に進むほどズブズブ沈んでいくので「おお良かった、ちゃんと Joy Division だ〜」って納得(笑) 前作から劇的な変化は無いものの、こっちはもう少し静かで内省的・耽美的でしょうか。終盤3曲の流れは儚く感動的。要はパンクロックから遠くなっているんですね。シンセの比率はアップしていて、打ち込みビート主体の曲も登場。リズムトラックに関してはやはり一捻りあって、ありきたりなロックのリズムの解体という観点では、PIL の 2nd に通ずるものもあるんじゃないかと。しっかしイアン・カーチスの声って暗いよなー。終始ぼそぼそメロってますや。この人の声は外ではなく内側に篭っていくイメージなんですよ。考えすぎかもしれんが。


1980年
2nd アルバム
注目曲 : #7 「 Twenty Four Hours 」
 途中何回かスピードアップしてギターサウンドが盛り上がるところがイイ。

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1998年
コンピレーション盤
推薦盤
Substance

 New Order の同名のベスト盤と対を成すように企画された編集盤。2枚のオリジナルアルバムには未収録のシングル曲や別テイク音源も多数収録。Joy Division のシングルは入手困難なのでファンには大変有難いアルバムです。驚くべきは、3年という短いバンドの歴史における急速な音楽性の変化。#1 「 Warsaw 」 のようなストレートなパンクロックからテクノを導入した曲まで幅広く、イアンの歌唱も時にエネルギッシュ、時に凍りついたように無表情と、曲によって様々。フロントマン、バーナード・サムナーを熱く支持したい管理人的には、収録曲の全てが優れているとは思わないし、ましてや Joy Division を崇拝している訳でもないのですが、鬼気迫る #3 「 Digital 」、後半の盛り上がりが熱い #5「 Transmission 」、満天の星空を眺めるような崇高なバラード #9 「 Atmosphere 」、シンセのメロディーが美しい 「 Love Will Tear Us Apart 」、この辺りは名曲中の名曲なので、ロックのファンなら暗いのイヤでも是非一度お試しを。入門編として聴くも良し、オリジナルアルバム収録ヴァージョンとの違いを味わうも良し、首を吊るときの BGM として使うも良し、それぞれの想いでどーぞ。
注目曲 : #10 「 Love Will Tear Us Apart 」
 バンドの最高傑作。鬱な歌メロ、フワリとシンセ音、歌う高音ベース、これって・・・はい、ニュー・オーダーです。しかしニュー・オーダーには無い凄みがある。