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Metallica




1983年
1st アルバム
Kill 'Em All

 邦題 『血染めのハンマー』 が有名な 1st 。スレイヤーと同様、ギタープレイに関しては Motorhead や Venom など NWOBHM 勢からの影響が窺えるし、ゴツゴツと尖った感触はハードコア譲りだろうな〜というところ。レコーディング前に脱退したデイヴ・ムステインの影響も少なくないのでは。音質の悪さやスカスカ加減はさすがに否めませんが、気にしなければこれは極上のスラッシュ・メタル・アルバムです。いいぞぉ! 何かと至らないところがあっても、そこはフレッシュな勢いでカバー。特にジェイムズの声は若すぎで別人みたい。頑張って吼えてるんだが、これがまるで子供のトラみたいでして・・・。楽曲はどれも直線的な展開で、速度に任してイケイケ!コノヤロー状態。以後の作品を特徴付ける広大なスケール感は未開発ですが、まれにギターがじっくり奏でるパートもあります。パワフルな歌心も常時装備。ただ激しいだけじゃない、メタリカの輝ける原石ここにありき。
注目曲 : #3 「 Mortorbreath 」
 この曲はオレ的にはギターソロを伴った「メロコア」です。というのも、オフスプリングの 「 All I Want 」 とか 「 The Meaning Of Life 」 に曲調が少しだけ似てるのよね。コード進行とか。

Ride The Lightning

 2nd アルバム。良くも悪くも猪突猛進なところがあったデビュー作に対し、本作ではスラッシュメタルバンドらしいスピードを維持しながらも、じっくりと腰を据えて高い計算力に裏打ちされたドラマチックな展開を表現するに至っています。スラッシーに駆け抜けるパートとメロディアスに聴かせるパートがアルバムの中でスリリングにせめぎ合い、ラストは壮大なインスト曲で締め。5分以上の長尺な曲が多く、大作志向が強まってきています。そして何より特筆すべきは、リフやソロなどギタープレイの美しさに磨きがかかった点で、シーンにおいてさらなるスピードを追求するバンドが多い中、メタリカはこの時点で既に速度ではなくメロ志向にシフトしていたのではないでしょうか。演奏もジェイムズの歌唱も安定感が出てきて、初期メタリカの完成形ともいえるアルバムです。


1984年
2nd アルバム
注目曲 : #1 「 Fight Fire With Fire 」
 バロック調のイントロから高速パートになだれ込むスラッシュ・ナンバー。ジェイムズの歌は珍しく音階を追いません。そこがまたイイ。



1986年
3rd アルバム
推薦盤
Master Of Puppets

 メジャーデビュー作となったスラッシュメタルの名盤 3rd アルバム。管理人は図らずも新品紙ジャケ盤をいただくという幸運に恵まれました。感謝感謝。作風としては前作の延長上で、キャッチーなメロディー、叙情性、構築力、曲単位の強さなど、全てについて一回り大きく成長していると思います。曲の長さも一回りアップで、平均6〜7分くらいと大作志向が顕著。長いっす。それでも様式美ともいうべき整然と組まれた秀逸な展開力が最後まで緊張感を保ち続けるので、途中で飽きて嫌になったりもしません。基本ミッドテンポですが、無論スラッシーな時間帯の迫力は大。一つ興味深かったのは、同じ2ビート高速パートでもスレイヤーはカミソリ「八つ裂き系」なのに対し、メタリカの場合はハンマーを連続で振り下ろすような「撲殺系」であることですね。何というか、音が硬く引き締まっているのです。自分は先にスレイヤーに先にハマってしまったので、メタリカに対して破壊力の点では特別な感慨は湧きません。まあ当然といえば当然。しかし、メタリカには良質のメロディーがあるし、ギターソロとかすげぇ奇麗。こっちはこっちで素晴らしいアルバムです。
注目曲 : #1 「 Battery 」
 メタリカ・ファンの間で一番人気の曲でしょうか? イントロからしてカッコイイです。「Battery!」の掛け声も絶妙のタイミング。

Metallica

 「ブラックアルバム」の名でファンから親しまれている 5th アルバム。現在までに2000万枚以上という驚異のセールスを記録し、歴代でたぶん一番売れたメタル系アルバムです。その要因はメタリカ最大の武器であったスピード(=2ビート)を封印して、重さを追求することにより、新たにモダン・ヘヴィネスへの道を切り開いたこと。そして歌もの路線へと切り替え、構成をシンプルにすることにより、メジャー感をアップさせたこと。結果的に一部のコアなファンからは見捨てられた代わりに、メインストリームのファン層の心をガッチリ把握。ロック界におけるヘヴィメタルの地位向上への貢献度は計り知れません。前半のスロー・テンポの曲も後半のアップテンポの曲も充実の品揃え。ギターリフも貫禄の響き。メロもキャッチー。売れるのも頷けます。ただまあ、#4 と #8 のバラード曲はちとお涙頂戴すぎるか。


1991年
5th アルバム
注目曲 : #1 「 Enter Sandman 」
 教科書に載せたいような名ギターリフ。このアルバムを象徴するような一曲。



2003年
8th アルバム
St. Anger

 ブラックアルバム以来のプロデューサー Bob Rock がベースを担当、オリジナルとしては6年ぶりとなる 8th アルバム。・・・なんだか随分変わっちゃいましたね、メタリカさん。まずはえーと、何ですか?!このスネア音は。フライパンをぶっ叩いたような金属音で、スネアにしてはあまりに奇妙。まあ、実験的試みとして好意的に受け止めますわ。ギターサウンドに関してはやはりメタルというよりは(ごった煮)モダンヘヴィネスで、ギターソロもさりげに無かったりしますが、このアルバムでは初期のような高速2ビートも多用しているので、スラッシーな時間帯は気持ちいいです。ところが楽曲自体はひたすら不安定。とにかく1曲が長すぎだし、展開も複雑すぎて先が読めん。AメロBメロとか、全体的にパートごとの整合性がイマイチで曲中の流れもガタガタ。おかげでサビがどこなのか分かりづらく、聴いててちっとも心休まりません。ジャムって曲を作ったことが影響しているのでしょうか。部分的にはすごくカッコいいパートもあるのに、他で埋もれてしまって活かしきれてないというか・・・。75分間通して聴くにはツラすぎます。余分なパートを削ぎ落として、もっとシンプルにまとめれば全然違ったはず。ジェイムズの声にしても、かつてのような張りは無いなぁ。
注目曲 : #2 「 St. Anger 」
 シングル曲。2ビート&コーラスのサビは Bad Religion 的。局所的な激速バスドラ連打が凄い。