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Nico


 1938年生まれ、ドイツのケルン出身、本名は Christa Päffgen 。ファッションモデル → 映画女優とキャリアを積み、この頃にはフランスのイケメン俳優アラン・ドロンとの間に二児をもうけましたが、1965年に The Rolling Stones のブライアン・ジョーンズの紹介で歌手としてシングルデビュー。続いてアンディ・ウォーホルの紹介でバナナジャケで有名な The Velvet Underground の 1st アルバムに参加。この作品のみでバンドを離れ、ソロ活動を始めました。世俗離れした独特の歌声とフォーク主体の音楽性で、後のオルタナ界に与えた影響は計り知れず、中でもスージー・スーをはじめ、彼女からインスピレーションを受けたと公言するゴス系アーティストは少なくありません。The Cult のボーカル、イアン・アストベリーもその一人で、彼らの2001年の復活作 『 Beyond Good And Evil 』 では 「 Nico 」 という曲名のニコ賛歌をやっています。Bauhaus がゴシック音楽の元祖なら、Nico はゴシック音楽の源流といったところ。ちなみに彼女は長い間ヘロイン中毒だったそうですが、1988年に休暇中に自転車で転んで頭を強打し、この世を去りました。

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1973年
4th アルバム
推薦盤
The End

 ニコのソロ4作目。ジョン・ケールやブライアン・イーノ、Roxy Music のギタリストであるフィル・マンザネラ等、豪華ミュージシャンが演奏陣としてゲスト参加。このエレクトロ・サウンドは当時としては実験的だったと想像します。収録曲は The Doors のカバーである #7 「 The End 」 と最終曲を除いて、全てニコによる作曲。このアルバムは彼女の作品群では最もダークな作風だそうで、シンセやオルガンの暗鬱なアンビエント・ハーモニーやピアノの伴奏を背景に、低音域で朗々と歌い上げるニコのどこか超越したボーカル。デカダンなムードに酔いしれる、病的なまでに美しい闇の精神世界。ゴスに影響を与えたと言われるのも納得ですが、#4 「 Innocent and Vain 」 や #5 「 Valley of the Kings 」 は中世のチャントにも通ずる単音旋律進行が印象的で、これは真の意味でゴシック音楽だと思いました。普段パンク以前の音楽はあまり聴かない管理人ですが、この時代にかくもディープなオルタナ・ミュージックが存在したとは! これは見事にハマりました。内省的で暗〜い音楽好きな人にとっては癒しの一枚で、激オススメ。
注目曲 : #8 「 Das Lied der Deutschen 」
 ラストはハイドン作曲、ドイツ国歌です(笑) 歌ってます。その意図ですが、当時のアンドレアス・バーダー率いるドイツ赤軍のテロ行為に対する批判として、愛国心の表明という意味からドイツ国歌をカバーしたらしい。