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Rammstein


 ドイツ出身のヘヴィメタルバンド6人組。 初期はキーボードをフィーチャーしたインダストリアル・メタルでしたが、最近はゴシック・メタル化。 ガチガチのドイツ語で歌うバリトン声ボーカル Till Lindemann は、 単語を数回発するだけで立派なサビを作ってしまう凄い人です。 しかもこの人は、水泳の東ドイツ代表として88年のソウル・オリンピックに出場しているという一風変わった経歴の持ち主。 この人に限らず、(一人を除いて) メンバーは皆筋肉ムキムキのヴィジュアル系で、PV を見るだけでもこの人たち特有のセンスが十分堪能できます。 あと、色々なものが燃えたり噴射したりするライヴ・パフォーマンスも圧巻らしい(笑)

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1995年
1st アルバム
Herzeleid

 どこか垢抜けないマニアックな雰囲気のデビュー作。それでも、どこを切ってもラムシュタインな堂々たる存在感です。 ティルのボーカルは後の 「風格」 とは違って別の威勢の良さがあります。メタルっ気は今以上に濃く、ギターリフは硬質でマッチョな感じ。 そのイケイケなエネルギーがやや空回りしているのもまた良い。クラフトワークばりに響くフラーケのキーボードも大活躍で、 これがまるでゴツゴツした岩場でピンポン玉が跳ねるようなアンバランスな演出で Good 。本作をラムシュタインの最高傑作に挙げる人も多いです。 いわゆる 「キメ曲」 が無いのが惜しい気もしますが、あの声がありゃ全曲つかみは OK(笑)
注目曲 : #2 「 Der Meister 」
 ほの明るいサビメロや間奏部がかえって不気味でイイ。ハイハットの裏打ちでノリノリ。

Sehnsucht

 アメリカでもラムシュタイン旋風を巻き起こした出世作 2nd アルバム。 強靭なマシンビートにメタリックなギターリフ、そしてその隙間を動き回るフラーケのピコピコキーボード。 これら鉄壁の楽器隊にティルが放つドイツ語の硬い響きがマッチするラムシュタイン・サウンドが完成しています。 1st 作とは違うダークで落ち着いた雰囲気のなかで、#1 「 Sehnsucht 」 や #5 「 Du Hast 」 などノリノリで華やかなダンス・チューンがアルバムの主役としていい感じでアクセント。 だが、その他が似たり寄ったりでやや退屈。まあ私もこの2曲にとらわれすぎなんですけどね。 #2「Engel」と#3「Tier」のギターリフは最初は区別付きませんでした。  ところで国内盤CDには「Engel」と「Du Hast」の英語バージョンが収録されていますがその語感のショボいこと。 やっぱ“No”じゃ全然ダメ。“Nein”でしょう。ナイン!ナインっ!


1997年
2nd アルバム
注目曲 : #5 「 Du Hast 」
 映画 『ロスト・ハイウェイ』 と 『マトリックス』 の挿入曲。管理人がまだラムシュタインの 3rd アルバムのみしか聴いていなかった時期に、 偶然この曲をラジオで耳にして 「何この曲、超イイ、ってかこれラムシュタインじゃね?」 と思って、 曲名もわからず適当にこの2ndアルバムをレンタルしたら、案の定この曲が入ってて大喜び(笑) ラムにハマったのはこの時からです。



2001年
3rd アルバム
推薦盤
Mutter

 ロマン派クラシックのような悲壮感あふれるイントロで幕を開ける 3rd アルバム。 今作では以前のようなピコピコ・キーボード音は脇役に回り、その代わりシンセストリングの音色がゴシカルな空気と共に圧倒的なスケール感を演出しています。 1st、2nd 時代のダンサブルな躍動感とは違って、ここではズッシリした貫禄が印象的。 リズムトラックは 2nd より生ドラムっぽくなりました。ティルのデス声一歩手前のバリトン・ボイスやメタリックなギターは健在で、 バラード中心の前半、高速トラックが多くなる後半ともに上々の出来栄え。どの曲も他にはないそれぞれの個性があるので、 その点前作よりアルバムとしての完成度は高いと思います。戦場の廃墟のような美しさを持つ、そんなオススメの一枚。
注目曲 : #2 「 Links 234 」
  シングル曲。軍隊の行進さながらで、号令のごとくたたみかけるティルの声がハマりすぎ。おかげでドイツ国内でネオナチ疑惑がかけられました(笑) まあ無理もないよな、あのPVじゃ。

Reise, Reise

 4th アルバム。まずジャケ絵についてですが、ここに載せているのは輸入盤のもので、日本盤のはブルーグレーの漂流船ジャケです。 ところが、これが2005年にリリース (早っ!) された 5th アルバムの輸入盤のジャケとそっくりなんですよね。つーか、もろ流用。 紛らわしいので、購入する方々はお間違えのないように。 さて本作ですが、音楽性は前作同様のゴスメタル路線で、いつも通り彼らならではの世界を描き出しています。 が、そこには新たな刺激には乏しい印象。AメロとBメロは退屈で、サビまでのただの時間稼ぎとしか思えないのが痛い。 退屈なAメロに耐えて、これでサビがショボかった日にゃ、もう・・(笑)  あと 「 Du Hast 」 「 Links 234 」 「 Sonne 」 みたいにバンドを代表するような花形トラックも見当たりません。 最後の方はスローな曲ばっかで集中力が続かんかも。まぁそれでも国際色 (政治色?) は豊かだし、 シングル曲の 「 America 」 のギャグセンスはラムシュタインならでは。 ラムシュタインは基礎(身体)能力が高いのでどうも過度な期待を寄せてしまいますが、 このアルバムとて他の新人バンドの作品だったなら十分な良作なのかもしれません。


2004年
4th アルバム
注目曲 : #7 「 Moskau 」
 ロシア語女性ボーカルとのデュエット。声のギャップがすごい。このアルバムで唯一疾走してくれる曲なので、 もうそれだけで嬉しい。あと間奏部のアコーディオンの旋律もイイ。



2005年
5th アルバム
Rosenrot

 5th アルバム。ウィキぺディアによれば、収録曲は前作 『 Reise, Reise 』 から漏れたアウトテイク5曲と全くの新曲6曲から成っているらしく、 アルバムは輸入盤のみで、未だに日本盤はリリースされていない模様。そんな中途半端な扱われ方もあって、 正直期待値は低かったのですが、まあ予想通り。地味目なゴス風味のヘヴィロックでした。ん〜ツマラン。 1st の頃のマジカルな突破力はあるはずもなく、2nd のようなノリノリハンマービートも無いし、3rd の演出力には及ばないし、 「 America 」 に匹敵するナイスなバカソングも無い。ピコピコなキーボードも過去の話。今回もそれなりに見せ場は用意されていますけど、 バンドのアイデアが枯渇しかかっているな〜という印象は禁じえません。もちろん本作がいわばアウトテイク集であり、 前作から1年という短期間でリリースされたことを考慮すれば、これは十分な出来でしょう。 疾走感も回復したし、ティルも相変わらず威厳に満ちた歌唱で聴かせてくれます。でも 3rd → 4th → 本作という流れを目の当たりにしてしまうと、 ラムシュタインはもう斜陽モード突入なのか?と思わずにはいられません。つーか明らかに斜陽モード。もう一花咲かせてくれ〜。
注目曲 : #9 「 Te Quiero Puta! 」
  ティルがスペイン語で歌う異色の高速トラック。イントロで馬の足音がパカパカいったり、ブラスが派手に火を吹いたりと、雰囲気もスパニッシュ。これはそこそこ良かったです。