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Siouxsie & The Banshees


 カリスマ女性ボーカル、スージー・スー ( Siouxsie Sioux ) 率いる、英国ポストパンク界を代表するバンド。彼女たちは、元はピストルズの親衛隊だったという話は有名で、まだロンドンにパンクバンドが数える程しかいなかった頃に、早くもシーンに登場しています。スージー姉さんは、白塗り&アイシャドーメイクの風貌ゆえに、しばしば「ゴスの女王」と称されますが、本人はそういう自覚はないとのこと。 彼女は79年にバンドに加入したドラマーのバッジー ( Budgie ) と91年に結婚。ご夫妻は The Creatures という原始音楽ユニットも掛け持っております。結成から解散時までバンドに在籍したベーシストのスティーヴン・セヴリン ( Steven Severin ) を含め、以上3人がバンドの重要人物で、ギタリストは頻繁に入れ替わりました。バンドはしばしばゴシックロックの元祖的な扱いをされますが、その音楽性はバラエティに富んでおり、初期のバンク路線、中期のゴス・サイケ路線、後期のポップ・メロディアス路線と、活動時期によって全く違ったサウンドを作り上げ、特に後続の女性ロックミュージシャンに与えた影響は計り知れません。

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1978年
1st アルバム
The Scream

 1976年にバンドが初ライブを披露した際は、ピストルズのシド・ヴィシャスがドラムを叩いていたりと、メンバー編成も不確定だったようですが、すぐにスージーとセヴリン、そしてギターのジョン・マッケイ ( John McKay )、ドラムのケニー・モリス ( Kenny Morris ) の4人に落ち着き、78年にデビューシングル 「 Hong Kong Garden (香港庭園)」 をリリース。中華趣味際立つこの曲は、スージーの個性的キャラと相まって「チャイニーズパンク」なんて扱われ方もしたそうで、こいつぁ楽しい、全英7位の大ヒット。続いてリリースされたアルバムがこちら。結局このアルバムには 「 Hong Kong Garden 」 は収録されませんでしたが、後の作品群と比べるとやはりパンク色が濃いエネルギッシュな作品となっています。スージーのボーカルもちょっと壊れた感じでハイテンション。ギターの奇天烈なコード進行やダークで退廃的な世界観は、同時代のパンクバンドとは一味も二味も違う強烈な個性。音楽的に荒削りでも、個性派 UK パンクロックと捉えれば素晴らしいアルバムだと思います。
注目曲 : #6 「 Mirage 」
 スージーの一人ハモリが絶妙。初期バンシーズの中ではメロディーが親しみやすく、お気に入り。

Join Hands

 発売当時は評論家から酷評されたという 2nd アルバム。まあここまで徹底してやったら無理もないよな〜。冒頭から不吉な鐘の音がカーンって鳴って、スージーの猟奇的な歌唱、悲鳴を上げるギターノイズ、不協和音に次ぐ不協和音。こんなのが出口の見えないまま延々とエンドレス黒魔術ワールド。サウンドはデビュー作の路線を継承しています。が、パンクらしく弾けた前作とは微妙に違って、このアルバムはより重苦しく、よりオカルトチックに。たぶんスジバン史上最もヘヴィ&ダークな作品でしょう。それはあの変則的なドラミングによるところが大きいんじゃないかと。スネアをあまり叩かず、ドンドコ鳴らしてばかりいるので、低音部がやたら耳に残るんです。スジバンは 3rd アルバム以降のメロディアス化も好きですけど、この頃のドロドロしたパワーも捨てがたい。筋金入ったスジバンファンにとっては最高傑作かもしれません。


1979年
2nd アルバム
注目曲 : #8 「 The Lord's Prayer 」
 スージーがとり憑かれたように騒ぎ続けるラスト曲。途中でポップな歌メロが飛び出したりで油断できない。しっかし14分かよ。いつまでやるんだ、おーい。



1980年
3rd アルバム
Kaleidoscope

 オカルト路線に嫌気がさしたのか、ドラマーとギタリストが脱退、代わってバッジー加入。スージーとベースのセヴリンと合わせてトリオ編成になりました。この時点でギター専任のメンバーはいませんが、このアルバムでは元 Magazine のジョン・マクガフと元セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズが臨時で弾いているようです。さて作風ですが、ひたすら重苦しかった前作とは打って変わって、ギターノイズはほぼ一掃、クリアーサウンドが主体となったので、音の隙間が活かされて風通しのいい印象に。静寂すら湛えたサウンドの中で一際目立つのが、独特のリズムを叩くバッジーのドラム。他が控えめな分、バスドラ、タム、スネアが一打一打響いてきます。メロディーセンスにも磨きがかかり、口ずさめるような曲が増えた点も進歩。『万華鏡』というタイトルが示すように、楽曲の色彩も広がり始め、限定的ですがテクノ・サウンドも導入しています。とはいえ、まだまだ閉塞感は失われていません。実はチャート的には最も成功した作品でした。
注目曲 : #7 「 Christine 」
 シングルとなった初期の名曲。アコースティックな感じのカッティングギターが綺麗。サビのポップなメロディーは新境地。

Juju

 バンドの最高傑作と名高い 『呪呪』 。ナイス邦題。前作で助っ人ギタリストを務めたジョン・マクガフが正式にバンドに加入し、変幻自在なギタープレイを披露しています。バンドの上り調子を反映するかのようにスピード感も格段にアップ。全体としてテンションが一気に向上してます。ノリノリな時間帯が多くて嬉しいですね〜。メロディーセンスもさらに磨きがかかり、3年前のデビュー作とは違う、洗練された楽曲群(アルバム終盤はなかなか狂ってます)。例によってゴシカルな香りもプンプンするんですが、以前のような息苦しさは軽減され、吹っ切れた威勢の良さが気持ちいい。スージーも今作ではハイテンション。分かりやすく絶叫することがあるのは本作が最後でしょうか? その意味で、このアルバムはスジバンにとって最後のパンクアルバム、と勝手に解釈。評判に違わぬ質の高さで、ポジパン史(狭っ!)に残る傑作です。


1981年
4th アルバム
推薦盤
注目曲 : #1 「 Spellbound 」
 イントロのギター、キャッチーなメロディー、サビの高揚感、どれをとっても極上。初期バンシーズの代表曲。いいぞぉ!



1981年
コンピレーション盤
Once Upon A Time: The Singles

 初期のシングルベスト盤10曲入り。チャーハンパンク 「 Hong Kong Garden 」を含め、オリジナルアルバム未収録のシングルが4曲収録されているので、12インチシングルとか集める根性は無いけどそこそこ熱心なファンなら買う価値あります。私の場合は 「 The Staircase ( Mystery ) 」 「 Love in a Void 」の2曲目当て。ひいき心を除いて考えると、スジバンは歴史的名盤と断言できるオリジナルアルバムに欠ける気がするので(だから影響力やキャリアの長さの割には認知度が低いのかもな〜)、このアルバムこそゴスの女王(とあえて言わせていただく)の魅力が凝縮された便利な1枚とも考えられます。こうやって初期の楽曲を並べてみると、やっぱりダークでイカれたカルトミュージック満載ですね。それゆえに、最初からこのバンドの音楽のゴシックサイドをお求めなら、入門盤としてもオススメです。
注目曲 : #8 「 Israel 」
 80年のシングル曲で、オリジナルアルバムには未収録。オバケの出そうなギターサウンド、あと後半部で現れる不気味コーラスが良いです。

 79年のシングル曲 「 Mittageisen 」 の B 面 「 Love In A Void 」 のライブ映像。上のシングルベスト盤 『 Once Upon A Time: The Singles 』 にも収録されています。この曲はスジバンにしては珍しく、ピストルズ直系のストレートな UK パンクサウンド炸裂で、スージーの立ち振る舞いもどことなくジョニー・ロットンぽい感じ。スージー姉さんカッコイイ!

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1982年
5th アルバム
A Kiss In The Dreamhouse

 上述のシングルベスト盤で一つの区切りをつけたバンシーズのスタジオ 5作目。ラインナップはそのままに、パンキッシュな勢いを擁した前作から一転、このアルバムではアート志向な耽美サウンドが強く打ち出されています。クリムトを意識したジャケ絵が象徴的。このジャケ絵いいな〜。さて、クレジットされているメンバーの担当楽器をみてみると、バッジーはドラムの他にパーカッションとハーモニカ、ジョンはギターとキーボード、スティーヴンはベースとオルガン、んでもってスージーは・・・・鐘。あと弦楽器もフィーチャーしてます。幻想オカルト音楽隊。スージーのボーカルはエコー強めで多重録音も駆使されていて、そのサウンドは複層的で色彩豊かなハーモニー。テンポは遅い訳ではないのですが、以前と比べるとドラム音の輪郭がやや弱め。ゆらゆら・ふわふわしたメルヒェンチックなムードが魅力です。ただし、歌メロのつかみの良さでは 3rd や 4th に劣るかも。収録時間 ( 37分 )ももうちょい欲しかった。
注目曲 : #6 「 Melt! 」
 ゆったり12/8拍子系のシングル曲。美しくメランコリックなメロディー、そしてコーラス。耽美路線の本作を象徴する一曲です。

Nocturne

 1983年の9月30日と10月1日にロンドンのロイヤルアルバートホールで行われたライブを収録した 2枚組ライブアルバム。CD 化に伴って1枚組となっており、DVD バージョンも発売されています。このライブでは The Cure のフロントマンであるロバート・スミス( Robert Smith )がギターで参加していますが、この人のギターってどうなんでしょう。「 Spellbound 」 のイントロとか、ちょっともたついてねーかー?(笑) パンク畑出身だけにライブでは演奏が激しくなっているかと思ったら、意外とそうでもない。前期スジバンの有名な曲は大方揃っているので、入門編としても良いかもしれません。


1983年
ライブ盤
注目曲 : #2 「 Dear Prudence 」
 次作 『 Hyaena 』 にも収録されたビートルズのカバー曲。1st の「 Helter Skelter 」と違って上品で大人しいカバーです。全英シングル・チャート 3位はスジバン史上最高ランク。ビートルズのネームバリューは強いのだ。

 この頃、スージーとバッジーはハワイに赴き、サイドプロジェクト The Creatures の 1st アルバム 『 Feast 』 をレコーディング。一方ベースのセヴリンはロバート・スミスと一緒に The Glove を結成し、『 Blue Sunshine 』 を発表。83年頃は各メンバーのサイドプロジェクトが盛んになった時期でした。なお、3rd アルバム以来ギターを担当してきたジョン・マクガフはバンドを脱退し、ロバート・スミスが正式なメンバーに迎えられました。(右の写真は、スジ子から虐待を受けるロバ犬。だいぶ肥えてきました。)

Hyaena

 ロバート・スミス参加の 6作目 「ハイエナ」。デビュー当時は「炎と氷を混ぜたような」と形容されたスージーの歌唱も、前作・本作あたりからトゲが無くなってきて、マイルドな歌い方に変化(一時期のどを痛めていたらしい)。ソフトに施されたミキシングも前作同様で、『 Juju 』 の頃のタイトな疾走感は感じられなくなりました。シンセの他にピアノを鳴らしてみたりエスニックなスパイスを効かせてみたりと、ギターロック以外の要素を消化し、小洒落たアレンジセンスを身に付けている点は、後期バンシースに繋がる成長でしょうか。しかし本作においては、それらが楽曲に強烈なインパクトを与えるには至っていません。とことん耽美的ってわけでもないし、ロックとしてはパンチも足りないし(ロバスミくんのギターも存在感薄すぎ)、かといって歌メロも微妙。決め手に欠ける上に、しごく中途半端な印象を受けるんですよ。もしビートルズのカバー曲とロバスミくんの参加という話題性が無ければ、かなり寂しい状態になっていたと思います。てな訳で、バンシーズの作品群では一番嫌いなアルバム。スジ子とロバスミくんのゴスゴスデュエットとかあったら熱かったのにな〜(笑) ・・・・妄想。結局本作の後ロバスミくんは The Cure に専念するためにバンドを脱退してしまい、スジバンの美味しい所だけ持ち去っていった格好に。(と、後にスージーはロバスミを非難したとかいう話)


1984年
6th アルバム
注目曲 : #1 「 Dazzle 」
 リードトラックでシングル曲。これはまあ良いです。バンシーズにしては珍しく、ストリングスが広大なスケールを演出。



1986年
7th アルバム
推薦盤
Tinderbox

 ロバート・スミスの後任に Clock DVA のギタリストだったジョン・ヴァレンタイン・カルーソーズが加入しての 7作目。前2作品のコラージュチックな試行錯誤の後とは明らかに違う、正面から真っ向勝負の吹っ切れたバンシーズ。 流麗! メロディアス! ワインレッドのジャケ絵さながら美しく染め上げられた統一感のある楽曲群からは、ポジパン要素は殆ど感じられなくなり、遠方の視界が開けてきました。スージーの妖艶な歌メロの素晴らしさは全作品中トップクラス。それに引き換え初期の頃の「怪しい魔力」は明らかにダウンしてます。サウンドが普遍的魅力を得ていく代わりにそのアーティスト特有の「ある種の要素」が薄まっていくことは往々にしてあることで、同時期の Cocteau Twins も同じような道を歩んでいる気がします。これはダークな個性派として出発したアーティストの宿命なのかもしれませんな。んで、話を戻してこのアルバム、ギターの押しはまずまずですが、ドラム音がシャープになったので疾走感もそこそこ。リズム感も多彩で考え抜かれているし、アレンジも無駄がなく効果的。スローでダークになる後半はインパクトが今一つで、やや集中力が落ちますが、前半の曲がそれを十分埋め合わせるくらい素晴らしい。『 Juju 』 のような派手さは無いものの、スジバン史上 1、2 を争う名作だと思います。
注目曲 : #4 「 Cities In Dust 」
 微妙にエスニックなメロディーがとにかくイイ。個人的にスジバンのベストトラック。ただ、このアルバムの末尾に納められた 「 Extended Version 」 はサビをリピートしすぎでクドい。

 『 Tinderbox 』 のリードトラック 「 Candyman 」 の PV。力強い表打ちのイントロ、流れるような美旋律、そしてスージーの艶かしいダンス(笑) これも管理人一押しのトラック。この曲も含め、本作では ムォォォン ムォォォン とうねるスティーヴ・セヴリンのベースが非常にイイ味出していると思います。



1987年
8th アルバム
Through The Looking Glass

 カバー曲のみで構成された異色作、8th アルバム。デビュー後 10年が経過し、今や英国では押しも押されぬトップバンドに上り詰めたバンシーズ。そんな彼らがこのアイディアを発表するや否や、各レーベルが激しい売り込み合戦を展開したそうです。楽曲のオリジナルは順に、#1 Sparks 、#2 Kraftwerk 、#3 映画 『 Jungle Book 』 のメインテーマ、#4 Bob Dylan 、#5 Billy Holiday 、#6 The Doors 、#7 Iggy Pop 、#8 John Cale 、#9 Roxy Music 、#10 Television となっています。ジャンルと国境を越えた余裕のチョイス。管理人はオリジナルを聴いていないので、「オリジナルと比べてどうなった」とか言えるはずもありませんが、とりあえず感じるのは、どんな曲だろうがバンドの色に染め上げてしまう秀逸なアレンジ力。予備知識なしでコレ聴いたら、普通にバンシーズの曲だと思ってしまいそうです。ある意味、最終作 『 The Rapture 』 よりも全然バンシーズしてます。サウンド的にはシンセ、ストリングス、ブラスの類を多用で、ストレートなギターロックは無し。前作 『 Tinderbox 』 よりは遥かに実験的だが、次作 『 Peepshow 』 ほどは遊んでいない、てな具合でしょうか。その点、本作は「脱線的な企画もの」ではなく、バンドの自然な歩みの一過程と解釈できると思っています。さすがに寄せ集めだけあって、ごった煮感は払拭しきれてないので、曲一つ一つに注目して聴くのが吉。  そう、それとですね、このアルバムあたりから東洋風メロディーへの傾倒が顕著になってる気がする。否! 既に「香港ガーデン」でデビューしてるじゃん!! って言われたらオシマイですけどね。
注目曲 : #7 「 The Passenger 」
 「ランランランランララララ〜♪」のフレーズが楽しいシングル曲。イギーの原曲はデビッド・ボウイが関わったとかで、ちとグラムっぽい感じ。ブラスも派手にブカブカ鳴ってる。

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Peepshow

 ここで最後のメンバー交代。ギタリストのジョン・ヴァレンタイン・カルーソーズが抜け、後任にポジパンバンド Specimen に在籍していたジョン・クライン、それにキーボード&チェロ&アコーディオン奏者のマーティン・マッカリックが新たに加入して、バンドは5人編成になりました。ってか、アコーディオン!? これじゃまるでスージー団長が率いるサーカス集団だな。んでタイトルからして 「 Show 」 ときたもんだ。前作のカヴァーアルバムが良い刺激になったのか、作風も脱ゴス、脱ロックの傾向が一気に強まり、実験的なポップアルバムに仕上がりました。曲単位でもヒップホップあり、カントリーあり、演歌あり(?)と、多国籍というか無国籍というか、ヴァラエティ豊か。特にリードトラックのバンシーズ流ヒップホップナンバー 「 Peek-A-Boo 」 は、隠し玉のような意外性。その後もバンドの豊富な引き出しからは、あの手この手で個性的な楽曲が飛び出し、まるでマジックショーのような展開を見せます・・・というのはやや言い過ぎで、全体としてはテンションは決して高くはなく、アルバム後半はむしろ幻想的な静寂の時間帯へと移っていきます。かつてのギターロック時代のパワーはありませんが、とにかくユニークだし、ラスト2曲の展開も感動的。貫禄十分の後期の代表作。


1988年
9th アルバム
注目曲 : #5 「 Burn Up 」
 ユニークなカントリー&ウェスタン調。終盤はスピードアップして目が回る。はえーよ。

 「 Peek-A-Boo 」 の PV とライブ映像を融合したもの。このシングル曲で初めて米ビルボードチャートの 100位以内( 53位 )に登場しました。タイトルの 「 Peek-A-Boo 」 とは「いないいないバア」の意味。スクラッチ音を導入したノリノリのファンクビートに合わせてスージーが「いないいないバア!」と連呼しながら、例によって怪しいダンス(笑) これは楽しい!

Superstition

 89年にスージーとバッジーが久々に The Creatures の活動を再開して 2nd アルバム 『 Boomerang 』 を発表。それによってバンシーズついに解散か?と囁かれるも、このアルバムの発表でファンは一安心。作風としては前作のポップ路線をそのままに、今度はダンス・テクノ的なビート感覚を注入。最初の 3曲なんかは準フロア対応なディスコチューンです。なかなかダンサブル。以前には無かったマイルドで明るい歌メロが際立っており、後期バンシーズならではの魅力はキッチリ打ち出されてはいます。が、ここでは前作のような目新しさはもはや感じられません。アッパーチューンの盛り上がりは中途半端だし、メロディーももう一歩・・・ですかね。アレンジも若干チープだし、特別優れた曲もないから残念。これまでハイペースで作品を発表してきただけに、そろそろバンドのエネルギーも枯渇しかかっていたのかもしれません。


1991年
10th アルバム
注目曲 : #1 「 Kiss Them For Me 」
 ハウスビートを導入したシングル曲。微妙にエスニックな、おっとり系メロディーです。ポジパン時代の面影は皆無ですが結構好き。ちなみに米ビルボード・チャートでは23位を記録し、アメリカではバンシーズ最大のヒット曲になりました。後期になってやっと彼女たちの音楽がアメリカの一般層に浸透したんですね。



1995年
11th アルバム
The Rapture

 バンシーズ最後のスタジオレコーディングアルバム。本作は収録された12曲のうち5曲が John Cale によるプロデュース。管理人は詳しいことは知りませんけど、この人はロック界の影の重要人物で、元は The Velvet Underground のオリジナルメンバーでした。それもあってか、雰囲気がいつもとちょっと違う様子で、こんなのバンシーズらしくないよー、ってな感想を抱くかも。ポストパンクどころかポストロック的なアプローチも強いし、民族音楽テイストもミックス。特にタイトル曲の 「 The Rapture 」 は 11分にも及ぶアンビエント調の大曲で、先の読めないミステリアスな展開は今までのバンシーズには無かったもの。全体のテンションは低めでマッタリしてるので、ポジパン時代のバンシーズが好きな人には馴染めない可能性あり。何つーか肩の力抜けちゃってるし。それでも国籍不明&時代設定不明な独特のムードは彼女たちにしか出せないものだと思うので、その点は高く評価しております。人の手を借りたこともあって、楽曲のアイディアも豊富。
注目曲 : #12 「 Love Out Me 」
 ラスト曲でやっとギアが入りました。やや演歌メロなのが気になりますが、カッコいいロックチューンです。報われたー(笑)

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 1995年7月21日のベルギーでのライブが表立った最後の活動となり、翌年バンシーズは20年に及ぶ歴史に終止符を打ちました。解散後のスージーとバッジー夫妻は The Creatures に専念、セヴリンはソロ活動をスタート。2002年には一時的なライブのためにバンシーズは再結成を果たしましたが、まあさすがにこれが正真正銘の最後でしょう。2007年に 50歳を迎えたスージーはついに旦那バッジーと離婚。これに先立って The Creatures も解散していますが、同年スージーは初のソロアルバム 『 MantaRay 』 を発表して健在ぶりを発揮しています。

The Best Of Siouxsie And The Banshees

 スージーメイクジャケが目立つ、2002年リリースのベストアルバム。バンド存命中には 81年と 92年にベスト盤を発表しています。前述の通りバンシーズといえば、ゴシカルなヴィジュアル面のイメージが付きまといますが、このCD を聴いてみると所謂ゴス系バンドではないことが分かります。むしろ(勘違い)東洋趣味ロックですね。選曲はベスト盤だけに優等生的なもので、シングル曲を中心に個性溢れる名曲がズラリ。元はファン向けのメールオーダーでしか入手できなかったレアトラック 「 Dizzy 」 も収録でお得な内容です。1曲目にビートルズのカバー 「 Dear Prudence 」 、ラストにボブ・ディランのカバー 「 This Wheel's On Fire 」 という風にカバー曲でサンドイッチにする配置も何か示唆的。バンシーズ入門にはオススメです。あえて難点を挙げれば、1st と 2nd の初期作品から1曲も選ばれていないところ。1st 収録の 「 Mirage 」 は入れて欲しかったなー。


2002年
コンピレーション盤
推薦盤
注目曲 : #7 「 Face To Face 」
 映画 『 バットマン・リターンズ 』 のサントラに提供された、92年発表のシングル曲。・・・てゆーかもう、洋楽史上まれにみるド演歌。今夜も酒がうめぇぜ。