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Slipknot


 米国アイオワ州から現れた“猟奇趣味的激烈音楽集団”。グロテスクなマスクをかぶり、お揃いのつなぎを身につけて放送禁止用語を連発しながらステージ上で暴れまわる過激なパフォーマンスが噂に噂を呼んで、名プロデューサーのロス・ロビンソンが手掛けたデビューアルバムは刺激に飢えた世界中の若者のハートを一気にゲット。彼らにはノーマークだった各種音楽誌が、慌てて取材&特集を組んだとかいう話が当時の凄まじい勢いを感じさせます。
 彼らはジャンル的にはメタルコア等に分類されますが、ボーカルのデス声やラップ、「 Wait And Bleed 」 のようなキャッチーなポップセンスなど様々な音楽要素を持ち合わせており、実際メンバーの音楽的嗜好はバラバラだとか。それもあってか、メンバーそれぞれ本業以外の別プロジェクトも盛んで、あまりに各人やりたい放題なので、バンドの存続が危ぶまれているようですね。2005年末のライブ盤のリリースを最後に、バンドは2年間の活動休止を宣言しましたが、4th アルバム 『 All Hope Is Gone 』 で見事復活を遂げました。

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1999年
1st アルバム
推薦盤
Slipknot

 一躍彼らを悪い子たちのスターダムにのし上げたデビュー作。コリー( Corey )のボーカルは、デス声シャウトが通常で、たまに早口でラップしたり、病んだように低く唸ったり。ハイスピードな8ビートの中にツインバスドラムやパーカッションのリズミカルな連打が挿入される打楽器のスタイルは圧巻で、2本のギターもギュインギュイン唸ってます。そこにノイズやスクラッチが絡んでくるといった、情報量の多いサウンドは、さすが9人ならでは。アドレナリン出まくりで、ぶっ飛ばされまくり。殆どがメロなしナンバーですが、どの曲にも印象的なフレーズが仕込まれていて、それがこのアルバムの親しみやすさに繋がっているのかも。要はエンターテイメント性が高いんです。
注目曲 : #3 「 Eyeless 」
 個人的にはスリップノットで一番好きな曲。とにかくリズム隊が凄い。前半はガンガン飛ばして、後半は首を前後に大きく振ります。

 シングル曲 「 Wait And Breed 」。ご覧の通り、スリップノットのメンバーは9人という大所帯で、各人に番号がついてます。

 #0 Sid Wilson ターンテーブル、メンバー最年少
 #1 Joey Jordison 小柄のバカテクドラマー
 #2 Paul Gray ベース、唯一アイオワ出身ではない
 #3 Chris Fehn パーカス、天狗のような鼻は自由に動く
 #4 James Root ギター、バンドには一番最後に加入
 #5 Craig "133" Jones サンプラー、コンピュータに詳しい
 #6 Shawn "Clown" Crahan パーカス、最年長でリーダー
 #7 Mick Thomson ギター、ギターを収集している
 #8 Corey Taylor 怒れるボーカル、本当はメロディー好き

 全員の名前と番号と担当楽器と風貌を暗記している人は、中程度あるいはそれ以上のスリップノット狂だと思われます。パーカッションの2人はライブのときは結構ヒマらしく、クリスは鼻をプルプル、ショーンは蛙みたいにピョンピョン跳ねたりして唯の「煽り隊」と化してるやんけ。管理人はスリップノット大好きですが、あまり詳しくはないので、最近はどのマスクが誰なのか判別つかなくなってきました(笑)



2001年
2nd アルバム
推薦盤
Iowa

 ここ日本も含め、世界中でチャートの上位にランクインした 2nd アルバム。ロックファンにはお馴染みですね。基本的には 1st の発展系ですが、前作がキレ重視だとしたら本作はパワー重視。ラップやトライバルなリズム感がやや影を潜めたのに対し、前にも増してデス声シャウトや直線的なブラストビートが圧倒的な厚みで聴く人の耳に迫ってきます。んまあ、とにかく音圧の凄いこと。1st アルバム同様インパクトのある曲が前半に偏っているので後半がダレてくる感もあるけど、それは管理人の持久力が足りないだけかも。ちなみにアートワークはカメラ好きのショーンが撮ったヤギの写真。わからんかった。
注目曲 : #2 「 People=Shit 」
 ヘイト・ミュージック史上に残る名アンセムで、家族みんなで聴きたい一曲(笑) スリップノットの代表曲と言ってよろしいかと。

Vol.3: (The Subliminal Verses)

 全米では同週発売のアヴリルの 2nd に敗れ惜しくも2位。もしアヴリルに勝ってたら、世の中狂ってます。それはともかく、バンド解散が噂された末の作品ですが、そんなこと全く感じさせない素晴らしい出来。前作までは怒りのエネルギーを外に向けて爆発させるような曲ばかりでしたが、本作ではそれらを内面で蓄積してより高次元へと昇華させてる印象を受けます。大雑把に言えばメロ重視、叙情性重視。個人的にちょっと残念なのは 1st の頃のようなパーカスポコポコ感がさらに薄くなっていること。トライバルなリズムやキュキュっとターンテーブルも捨てがたいんだよな。全2作品には存在しなかったアコギ系歌メロバラードの存在に対しては賛否両論あるようで、ヴァイオレンスを求めるファンからは厳しい意見も。私としてはメリハリの「メリ」として支持。「ハリ」が失われていないのでOKです。というか、#11 「 Vermilion Pt. 2 」 なんか心に染みる名曲だと思います。


2004年
3rd アルバム
注目曲 : #2 「 The Blister Exists 」
 重厚な滑り出しの1曲目から、例によって2曲目キラートラックに突入。間奏部の打楽器リズムが楽しくて、机をボコボコ叩きまくったのが懐かしいっす。



2008年
4th アルバム
All Hope Is Gone

 無事9人揃って久々のオリジナルアルバムとなったスリップノットの4作目。 不気味なノイズで始まる SE に続いてリズム隊が爆発する毎度お馴染みの展開に期待を寄せるも・・・ まあ悪くない、悪くない、と思いながら抜きん出た魅力を見出せないまま1時間が過ぎていく、何とも煮え切らない地味盤だった・・・(残念)。 スピードが遅くなったとか、燃え滾るような怒りが感じられないとか、 コリィの歌メロが増えて Stone Sour に似てきたとか、ギターソロが目立つようになったとか、そんな表面的な変化は今さら問題じゃなくて、 もう少し聴き込めば良くなると前向きに耳を傾けても何時までたってもマジカルなリピート欲が湧いてこないことが問題でしょーよ。 少なくとも 1st と 2nd はブッ飛ばされるような音の波動に無条件に体が動いたし、 前作 3rd は叙情性を含んだ奥深い芸術性に秘められたスリップノットの素顔を垣間見たけど、 今作はこのアルバムならでは!ってモノがちっとも見えてこない・・・と思うのは管理人だけじゃないはず。 正直、このバンドはもう完全に下り坂だな。これがもし新人のバンドの作品だったら決して・・・なんてフォローはしたくないっす。
注目曲 : #5 「 Dead Memories 」
 コリィが全編に渡ってメランコリックな歌メロを奏でる Stone Sour 直系楽曲。これが一番印象に残った・・・という結果が寂しすぎる。ラストのタイトルトラックはそれなりにカッコ良かったけどね。