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System Of A Down


 ロサンゼルスのアルメニア人コミュニティ出身の4人組変態ミクスチャー・ハードコア・バンド。 ライブ活動でじわじわと頭角を現していた頃、 コミュニティの仲間たちがラジオ局に彼らの曲をリクエストしまくったこともあって、 「 Sugar 」 や 「 War 」 がラジオでガンガン流れたとかいう話。コミュニティの力、恐るべし。 そして90年代後半のミクスチャー全盛時代の勢いに乗ってメジャーデビュー。 彼らのユニークな音楽性はアメリカ以外でも人気を博し、 そのまま世界のトップバンドとして活躍しました。 残念ながらバンドは2006年に活動停止しており、各メンバーはソロ活動へ転じています。 さて、メンバーの名前と特徴は以下の通り。

サージ・タンキアン (ボーカル担当、時々キーボードを弾いたりする)
・信仰宗教の指導者のように胡散臭くもカリスマ性のある風貌
・AUDIOSLAVEのトム・モレロと一緒に政治・社会活動団体を結成している

ダロン・マラキアン (ギター担当、近年はボーカルとしての出番も増加)
・目が開きすぎ
・マリファナ所持で逮捕されたことあり
・作曲などバンドの頭脳的存在

シャボ・オダジアン (ベース)
・スキンヘッドに丹念に編み上げたあご髭
・よーく観てると、ときどき目玉がひっくり返る
・PVやジャケットなどのヴィジュアル面も手がける

ジョン・ドルマヤン (ドラム)
・表情が変わらない
・日本アニメの大ファンだとか

サージの政治活動もあって、SOAD は Rage Against The Machine のように社会派のバンドとして捉えられがちですが、 もっと下世話なこと(薬ネタや下ネタとか)も沢山歌っています。

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1998年
1st アルバム
大推薦盤
System Of A Down

 衝撃 (≒笑劇) のデビュー作。 人間が出すことのできる全ての声を自在に操るかのようなサージのボーカル、 ペケペケの単音とラウドな重音を行き来するダロンのギター、 そして予想だにしない急加速・急停止を当たり前のようにやってのけるリズム隊。 この3つが本作をあまた存在する他のラウドロックの作品群から一線を画す要因となり、 唯一無比のオーラを放つ奇跡的な神盤たらしめているのです。 特にサージのボーカルは、早口ラップ・裏声・ささやき・絶叫などもう何でもアリで、 やることがいちいち人間離れしていてスゴイ。歌詞もキレてるし狂ってる。 弱者を虐げる政府権力を激しく糾弾する怒りの咆哮がバックの演奏と一体化し、 得体の知れないエネルギーの塊となって怒涛のごとく聴く人の耳に押し寄せる、そんなエグさ満点の傑作アルバムです。 このアルバムは凄すぎる! 無論捨て曲など断じて存在しない! 今後オレはこのアルバムの衝撃を上回るロックに出会える気がしない!
注目曲 : #3 「 Sugar 」
 サージが7つの声色を操る変態シングル曲。スピードアップする終盤がお茶目。ライブの締めとしてお馴染みの曲です。

Toxicity

 全米1位を獲得し、シングル曲の 「 Chop Suey! 」 「 Toxicity 」 「 Aerial 」 がヒットする追い風を受けて、 世界中で650万枚以上を売り上げた 2nd アルバム。今作でもサージの奇天烈ボーカルとダロンのペケペケ音ギターは健在で、 さらに作品のスケールと音圧が UP した感じです。アルバムの前半は 2ビートのリズムを交えた破壊力のあるハードコアが中心となる一方、 後半は歌メロ重視のミッドテンポの曲が多くなり、所々で民族楽器の音色が彩りを添えています。 このアルバムは各誌から2001年のベストアルバムとして扱われたらしく、世間的な評価ではバンドの最高傑作ですが、 1st のような変態さが少なくなっているのが惜しい気もします。 ところで、アメリカでこのアルバムが発売された1週間後には、何とあの同時多発テロが起こっているんですね。


2001年
2nd アルバム
注目曲 : #6 「 Chop Suey! 」
 シングル曲。2倍、1/2倍と巧みなテンポチェンジで揺さぶり、最後はピアノや弦楽器の音色でドラマチックに盛り上がります。



2002年
コンピレーション盤
Steal This Album!

 当初2枚組みでのリリースを予定していた 『 Toxicity 』。 それに向けて制作したものの、結局収録されるには至らなかった音源がネット上に流出してしまったことを受けて、 急遽音源をミックスしてシニカルなタイトルを添えてリリースしたのがこの作品。とはいえ、残り物を寄せ集めたアウトテイク集にしては高品質。 『 Toxicity 』 に入ってる曲には時間をかけてよく練り上げられた印象を受けますが、こっちの曲には幾分即興性を感じます。 さすがにアルバムとしてのまとまりを欠いてる感は否めないかな。その代わり楽曲のバラエティは豊かで、 1st を彷彿とさせるイカれた曲もあれば、しみじみとしたアコギのバラードなんかもあったりします。 『 Toxicity 』 にヤラれた人はこのアルバムも是非聴きましょう。
注目曲 : #8 「 I-E-A-I-A-I-O 」
  AメロBメロが1コードでゴリ押しだが、ぞくぞくするサビメロがヤバイヤバイ。

Mezmerize

 『 Toxicity 』 が各種プレスからの賞賛を浴び世界中が彼らに期待を寄せる中、 完成した新作はメズマライズとヒプノタイズ、2つで1作品という形式がとられ、 まず前編である本作が5月にリリースされました。 2回に分けてリリースすることについて、サージ曰く「最初のレコードを聴いて充分に消化してもらってから、 次のアルバムに進んでもらおうと思っている」とのこと。さて本作ですが、以前のと比べて幾つかの点で作風が変化しています。

・メタリックでスラッシーなギターリフが増えた
・それを鳴らしているダロンがボーカルを担当する機会が増えた
・それによって、エモーショナルでメロディアスな二人のハモりが増えた等

 結果として、割と万人向けの聴きやすい作品になっていて、1stの頃のような「ストリート感覚」みたいなのは無くなっています。 システムらしいユーモアはというと、やはり随所でニヤリとさせられる仕掛けが施されており、ファンには嬉しいサービス精神。 冒頭と最後を除けば、どの曲もハイテンションで、あっという間に聴き終わるようなインパク値の高いアルバムです。 ところで、このアルバムによってSOADの存在を知った日本人は多いのでは?と思うけど、当の管理人もその中の1人。 ある日タワレコ店内をフラついてたら、いきなり横から 「ラララララララララ、ウ〜♪」 って聞こえてきて、 何だ今のは!?と試聴してみたら、#2 「 B.Y.O.B. 」 のヤバイこと。 そんでもってヤバイヤバイ思いながら3曲目、4曲目と聴いているうちに、 システム中毒である私が一丁上がっていた次第であります。 まあでも、最近はめっきり聴かなくなってしまいました。システム中毒無事完治。


2005年
3rd アルバム
推薦盤
注目曲 : #2 「 B.Y.O.B. 」
 R&B 調になったりブラストしたりと、ジェットコースターのように大忙しな 1st シングル。



2005年
4th アルバム
Hypnotize

 さて、こっちが半年後にリリースされた後編なんですが、ん〜、個人的にはイマイチといった印象。 決して駄作ではないけど、おいしい部分をメズマライズに持っていかれて、出がらしお茶葉状態というか・・・。 まず特筆すべきことは、Voダロンの出番がますます増えていることです。 サージの方はというと、あれ?いつの間にやら絶叫しなくなっちゃいましたね。 きっと長年の喉の酷使で彼の声量が衰えているのでしょう。それを埋め合わせるためにダロンが前に出てくる、といった感じで、 今後この「ツインボーカル体制」が続くことが予想されます。 ダロンが歌うことについては批判的な意見が目立ちますが、私はどうかというと、やっぱりサージの引き立て役として歌って欲しいので、 ダロンが主役になってしまう曲が増えるのは歓迎しません。 まあそれでも、どの曲においてもシステムらしいメロディーセンスは遺憾なく発揮されてるし、 スローテンポの時間帯が増えたとはいえスラッシーなパートもまだまだ健在。 という訳で、ファンはもちろんのこと、そうでない人も買って損するアルバムではないと思います。 メズもヒプも共に長さが40分以内の短いアルバムだから、貧乏性の私なんかは CD 1枚にまとめれば皆喜ぶのに、とか考えたり。 きっと政治活動にはマネーが必要なんだろな。
注目曲 : #7 「 Vicinity Of Obscenity 」
  「バナナ!バナナ!」 とまくし立て、突如ファンク調に移行するお笑い系ナンバー。でも、かつてのような感動は湧かないけどね。