1980年 4th アルバム 推薦盤 |
The Black Album シンセサイザーを大幅に導入して脱パンク化へと歩み始めた 4th アルバム。 裏ジャケもそうですが、何曲かに彼らのゴシック的美意識に対する興味が覗え、 ピアノやオルガンやブラス等いわゆるバンドサウンド以外の音色が様々な表情を与えています。デイヴのボーカルも大人しくなりました。 その意味では確かに 「パンクっ気」 は薄くなっているので、パンク原理主義者からはダメ出しくらうでしょう。 それでもエレキギターは楽器の主役としての地位を譲っていないし、2ビートを含む高速パートも用意されているので、 エネルギーや疾走感はまだまだ健在。耳に残るメロディーといい、楽曲の質も高いです。一枚の CD の中で音楽性の振れ幅が大きいので、 ダムドというバンドの性質を満遍なく体現した作品と解釈できるのではないでしょうか。 その象徴ともいえるアルバムの最終曲は17分以上に渡ってアイデアがつぎ込まれた超大曲で、 「教会風」 → 「疾走パート」 → 「幻想的な静寂」 → 「雨音&ノイズ」 → 「疾走パート」 → 「テクノ風」 といった感じで次々と情景が移り変わる素晴らしいエピローグとなっています。 このアルバムは世間的に人気のある 1st と 3rd の陰に隠れた名盤ではないかと。 |
注目曲 : #12 「 Curtain Call 」 上述したラスト曲。中盤にて静寂を打ち破るヴァイオリンの旋律は、リムスキー・コルサコフの交響組曲 『シエラザード』 の一節。目の付け所がイイ。 |
Live At Shepperton 1980 3rdアルバム 『 Machine Gun Etiquette 』 発売後の1980年春、 シェパートンにて行われたファンクラブのためのスペシャルギグの模様を収めたバンド初のフルライブアルバム。 「 Love Song 」 や 「 Melody Lee 」 をはじめ、収録曲はどれもファンにはおなじみのナンバーで、 全10曲のうち7曲は 『 Machine Gun Etiquette 』 に収録されている曲。 演奏は暴走気味にスピードアップしてて、ライブの迫力と熱気がリアルに伝わってきます。おまけに演奏力の危うさまでリアルに・・・(笑) |
1982年 ライブ盤 |
注目曲 : #6 「 Neat Neat Neat 」 「ニ・ニ・ニ!」の「ニ」がきちんと3回聴き取れないほど速くなってます。途中ではドラムソロも。 |
1985年 7th アルバム |
Phantasmagoria ポストパンクを通過したゴシック期ダムドの象徴ともいえる 6th アルバム。 バンドの重要人物であったキャプテン・センシブル抜きで作られた本作は、米メジャーレーベル MCA からリリースされ、 商業的には今まで以上の成功を収めたとのこと。デビュー時のパンクっ気を失った彼らですが、 それを埋め合わせるかのように追求したものは緻密かつドラマチックな構築美。 キーボードの音色や吸血鬼のようなデイブの低めの歌唱が真夜中のように不気味な静寂を生み出しています。 ちとB級っぽさは否めんが、一つ一つの楽曲の出来は良く、そのメロディーは例によって口ずさめるようなポップさ。 ゴスとはいえども憂鬱になるどころか、どこか楽しくなってしまうのがダムドらしいです。UK ゴシックに興味がある人なら聴いてみたいアルバム。 |
注目曲 : #6 「 Grimly Fiendish 」 チャーミングなチェンバロの前奏がインパクトのシングル曲。かつて荒々しいパンクをやっていたことが想像つかないぐらいに激ポップ。 |
Smash It Up: The Anthology 1976-1987 2枚組のベスト盤。バンドの名曲がほぼ網羅されているので、ダムド入門としてお手軽な CD です。 1枚目は 1st 〜 3rd アルバムのパンク時代で、2枚目は 4th アルバム以降のポストパンク期の作品から収録。 全てにおいてメロディーがキャッチーでポップ。音楽性の幅も広く、聴く者を楽しませようとするサービス精神が伝わってきます。 初期衝動発散型の自己満足だけでなく、時代と併走してシーンから様々なものを吸収してさらなる高みに到達しようとする姿勢、 これこそが彼らの活動が一過性のブームで終わることなく、断続的ではあるが当時のパンクバンドと比べて長期間継続した最大の理由ではないかな〜と思ってみたり。 デビューから30年以上経過する今でも楽曲の輝きが全く色褪せてないのがスゴイ。たとえ追体験だとしても、 タイムカプセルを開ける時のように懐かしくも新鮮な気分にさせてくれるのです。 |
2002年 コンピレーション盤 推薦盤 |
注目曲 : Disk1 #1 「 New Rose 」 デビュー曲。イギリスではどこよりも早いパンクのシングル。 |