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The Smashing Pumpkins




1991年
1st アルバム
Gish

 ビリー・コーガン率いるオルタナ系ロックバンド、スマパンの 1st アルバム。 ハードロックやパンクやプログレなどを消化しつつ、そこにビリーの爬虫類系脱力ボイス、良質のメロディー、 ギリギリと歪んだギターといった 「スマパンらしさ」 が加わったサウンドは、当時としては異質のものだったと思います。 ギターはヘヴィだけど決して攻撃的にはならず、むしろソフトで優しい響き。 中でも壮大さと気だるさを併せ持ったスローテンポの楽曲の美しさはまさにバンドの醍醐味で、後の飛躍を予感させるものではないかと。 ただ、アルバム全体としてみるとムードが一緒で意外性に乏しいというのはあります。 盛り上がり系チューンの #1、#2、#4、#8 などは横ノリのグルーヴがどれもワンパターン。 それがまた好きだったりするんですけどね。良くも悪くも単調なので、やる気の出ない午後の BGM に最適。
注目曲 : #10 「 Day Dream 」
 この曲は女性ベーシストのダーシーがマイクをとってます。注意しないと気付きません。

Siamese Dream

 全米で400万枚以上を売り上げた出世作 2nd アルバム。前作に引き続き Butch Vig がプロデュース。 ギターの音圧をアップさせつつ、歌心にも磨きがかかり、スマパンのスタイルが確立。前作ほど単調ではないにせよ次作に比べるとやや地味なので、 程よいグダグダ感、サイケデリックな雰囲気が満喫できます。いかにもオルタナ/グランジ時代の空気を反映した作品ですねー。 突出したキラートラックにやや欠ける気もしますが、全体的にクオリティは高いし、後半のアコースティック楽曲も良い。 しかし、そんな上昇気流とは裏腹に、メンバーの不仲、ジミーの薬物中毒など、バンド内部は既に問題を抱えていたのでした。 ちなみに、ロン毛だったビリーもこの頃には短髪に。


1993年
2nd アルバム
注目曲 : #6 「 Disarm 」
 シングル曲。弦楽器の伴奏に乗せたドラマチックで感動的なメロディー。スマパンで特に好きな曲の一つです。



1995年
3rd アルバム
推薦盤
Mellon Collie And The Infinite Sadness

 2枚組で全28曲2時間超という大作にしてバンドの最高傑作 3rd アルバム。 ニルバーナ無き後のオルタナロックファンの支持を一身に集め、全米で約1000万枚というメガヒットを記録。 轟音ギターチューンでは強力かつキャッチーなリフで攻め、バラードではドリーミーでメロディアスに。 これまでと比べてロックチューンでのテンションが高くなっていながら、 一方でアコースティック系楽曲の比率が多くなっているので、全体としてメリハリが向上。 ビリーも前より全然吼えてるし、かといってあの声で優しく囁くように歌っても見事にハマってます。 グダグダ感が弱まり、多彩な楽曲の中にメインストリームらしい洗練性が出てきたので、 このアルバムはあまり 「グランジ」 という響きは似合わないですね。むしろドラマチックで美しいアルバム。 忍耐力の無い管理人は2枚続けて聴き通すのは正直キツイのですが、名曲のオンパレードでロックファンならさすがに聴く価値あります。
注目曲 : (Disk1) #2 「 Tonight, Tonight 」
  センチメンタルなピアノインストに続く実質リードトラックは、壮大なストリングスを従えたバラード系楽曲。 この曲は PV も秀逸で、レトロで豪華なセットもさることながらチャップリン映画の如き微妙な早回し演出がイイ。

Adore

 あのスマパンが轟音ギターを捨て、突如ニューウェーヴ方面に舵をとった問題作 4th アルバム。 おかげで従来のファンには受け入れられず、かといって新たなファン層を開拓するには至らず、結果としてセールス的には失敗。 全米で110万枚ほどしか売れなかったとかで(それでも凄いけど)、これは全盛期と一桁違う数字。いや〜歴史的な惨敗っぷりですね(笑)  もっとも日本受けは良かったとかで、作品の出来それ自体は良いと思います。 昔の「轟音ギター」の面影はどこへやら、エレキギターはアルバムの序盤こそまずまず鳴っていますが、 気付いた頃にはすっかり消え失せていて、アルバムも後半になると、もはや「癒し系」という表現が相応しいピアノ小曲集がタラタラ続きます。 この脱力感、まるでグランジの重みと汚れが奇麗サッパリ流されたかのようで、 所々お花畑のように優しい曲があったりで、ふかふかコットン100%なサウンドを満喫できます。 全編には「わび&さび」的なオーラが薄っすら漂っていて、慎ましやかで郷愁を誘うピアノの音色もそれを助長。 エレクトロが多用されているのもポイントで、ドラマーが抜けたのも理由の一つでしょうが、 もともとビリーはニュー・オーダーやデペッシュ・モードの大ファンだったとかいう話。 まあさすがにファンの方々もこれ程大胆な路線変更に付いて行くのは難しかったかと。


1998年
4th アルバム
注目曲 : #4 「 Daphne Descends 」
 ビリーの悲哀ボイスが放つ悲哀メロディー。かすかなゴスの香り。