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This Heat


 1975年から1982年にかけて活動した英国の3ピースバンド。 ポストパンク〜ニューウェイヴと呼ばれるバンドが次々と現れる中、 この人たちは他のバンドとは一味も二味も違う独自の実験的サウンドを展開していました。 当時 NME 誌から「Sex Pistols と King Crimson との亀裂を埋める存在」と評されたとか。

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1978年
1st アルバム
This Heat

 即興的なバンドサウンドとクラリネットやキーボードの調子ハズレな音階とメタルパーカッションの乱打を音響処理というミキサーにかけ、 ありふれたポップ・ミュージックに対する挑戦状と共に当時の音楽シーンに叩き付けた、 UK 最強オルタナトリオの名盤1stアルバム。西欧離れしたリズムを刻むドラムや、いちいち捻じ曲がった音の鳴らし方は、 まさにミュージシャンとしての独自性を突き詰めたもので、 それでいていわば「雑音」とも言える音の塊に芸術性を付与するセンスは当時のポストパンク勢でも群を抜いています。 全体にヒリヒリと漂う緊張感が鮮烈。まあ、ざっくばらんに表現すればノイバウテンやスログリにも通ずる実験ノイズ音楽ですが、 たまーに現れるダウナーな歌メロが彼ら特有の色ですね。次作 2nd より混沌としているので、やや聴く人を選ぶかも。
注目曲 : #2 「 Horizontal Hold 」
 「ドスン、ガシャン!」とジャンクノイズで始まり。ってか、このアルバムは1曲目が音量小さすぎなもんで、よく聞こえるようにボリューム上げたまま2曲目に突入すると大変。心臓止まります(笑)

Deceit

 またもやセルフタイトル?な 2nd アルバム。今回は核戦争の脅威をテーマにしているらしく、 実際インナーのアートワークにきのこ雲の絵があったり、「 Hi Baku Sho 」 てなタイトルの曲があったりと、 シリアスでメッセージ性濃さげな作品。バンドサウンド主体で繰り広げられるコラージュ的なアンサンブルは、 相変わらず実験的な性格ですが、デビュー作と比べるとボーカル曲の数が充実しており、どことなく民謡調の歌メロやコーラスもなかなかキャッチー。 活気のあるドラムのリズム感も強力。全体としてのメリハリが考え抜かれていて、以前より音楽としての体裁が整ってきています。 それでも俗世間とは無縁のオルタナ性は健在で、ボーカルや演奏もにわかに荒々しくなったりと、型にはまらないプログレッシブな曲展開。 不穏で重苦しくなるアルバム後半なんか Tool にも通ずる雰囲気。PIL の 2nd や Throbbing Gristle の 2nd と併せて聴いていただきたい、 異端児ポストパンクの大傑作です。


1981年
2nd アルバム
推薦盤
注目曲 : #10 「 A New Kind Of Water 」
 前半はお経のような怨念渦巻く空気で、中盤からメランコリックな歌メロが続きます。アルバム後半のハイライトですね。