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Tool


 1990年から活動を続ける米国ロサンゼルス出身のオルタナティヴ・ヘヴィロック・バンド。 他の追随を許さないスピリチュアルで暗黒的なプログレッシヴ・サウンドと、そのライブ・パフォーマンスが早くから評判となり、 デビュー EP に続く 1st アルバム 『 Undertow 』 はアメリカ国内だけでダブル・プラチナに認定される大ヒットを記録。 続く 2nd アルバム 『 Aenima 』 は米ビルボードで初登場2位を記録し、 オルタナ/グランジ以降の新たなカリスマとして、その評価を不動のものにしました。 バンドは5年に1枚程度のスローペースでアルバムを制作する傍ら、 ボーカルのメイナード・ジェームス・キーナンは A Perfect Circle などのサイド・プロジェクトでも作品をリリースしています。
 ちなみに管理人は、スローで長尺な曲が多いバンドは基本的には苦手で、昔はこのバンドについても例外ではありませんでしたが、 今となってはそんなこと言えたもんじゃないです。Tool 最高すぎだ。

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1996年
2nd アルバム
推薦盤
Aenima

 最初聴いたときは、変拍子が多い不気味なヘヴィロックだなあ、程度にしか思いませんでしたが、 最近はこのアルバムの中に宇宙が内包されている気もしてきました(笑)  蝋燭の炎のように妖しく揺らめくAメロ、マグマのごとく激しく噴出すサビ、出口の見えないトンネルのような間奏部。 これらが混沌と渦巻きながら、自己の精神世界を投影させた(目玉入り)万華鏡さながら表情を移り変えていく、暗黒の無限回路。 ・・・てな具合に語彙を振り絞っていろいろ言葉を並べてみても、ダメだっ! このアルバムに秘められた至高の芸術性は到底表現しつくせないから何とも凄い。 特にリードトラックの 「 Stinkfist 」、この曲はあまりにも凄すぎる。そして美しすぎる。 しかし、アルバム内に幾つか存在するインスト曲の不吉さといったら、これまた半端じゃない。 このアルバムは堅気な人や、お年寄りとか妊婦にもオススメできませんよ。
注目曲 : #12 「 Cesaro Summability 」
 赤子の悲鳴が超悪趣味で楽しい SE 。昔よくこの曲を一曲リピートで繰り返し聴いて、頭がおかしくなりました。

Lateralus

 メイナードの A Perfect Circle での活動を挟んで、米ビルボード1位という快挙とともに5年ぶりの帰還となった 3rd アルバム。 前作 『 Aenima 』 の形而上的(?)な作風と比べると、このアルバムは幾らか具象性が出てきたというか、 旋律やリズム感にはどことなくオリエンタリズムを感じさせ、メイナードのボーカルも表情豊かでメロディアスな印象が強まってきました。 それでも、「トゥール真理教」 とでも言うべき唯一無比のカリスマ性と中毒性には一点の陰りもなく、 テクニカルなドラムと複雑奇怪なギターリフを組み合わせながら、 「静」と「動」を激しく行き来しつつプログレッシヴに展開する孤高のサウンドには、 以前にも増して熱いエネルギーが漲っています。 今作は変な SE も存在しないので安心、比較的馴染みやすいかも。


2001年
3rd アルバム
推薦盤
注目曲 : #8 「 Ticks & Leeches 」
 メイナードの絶叫ボーカルが炸裂するアクティヴ系楽曲。終盤にかけてなだれ込むような壮絶なタム回しドラムワークがカッコイイ。



2006年
4th アルバム
大推薦盤
10,000 Days

 またしても長い充電期間を経てのリリースとなった 4th アルバム。 相変わらずアートワークが凝りまくりですが(デジパック盤はインナーのアートワークを付属のレンズで3D鑑賞できる!)、 肝心の中身もやはり変拍子頻出&長尺な曲が多く、収録時間も75分の大ボリュームで Tool 節健在。 その中で、今作ではメイナードのメランコリックな歌メロが際立ち、 「歌モノ」 としての普遍的な魅力が備わってきたあたり、聞きやすくなったと賛否両論ある様子。 確かに 『 Aenima 』 の頃のドロドロと狂的なトリップ感覚は減退しているだけに、かつての衝撃は感じられないかもしれませんが、 闇へと溶け込む奥深い精神性や、古代の神秘を紐解いていくような底知れない魔力を忍ばせたサウンドには、 ベテランならではの円熟味と貫禄を感じさせ、繰り返しリピートするにつれ、彼らの音楽性がさらに進化を遂げていることを確信せずにはいられません。 本作の中核をなす3曲目と4曲目の壮大な組曲 「 Wings 」 は一際素晴らしく、 ギターリフが特徴的な #1 「 Vicarious 」 の他、#7 「 Lost Keys (Blame Hofmann) 」 #8 「 Roseta Stoned 」 あたりがお気に入り。 彼らの作品はどれも傑作レベルですが、個人的にはこのアルバムが一番好きだったりします。
注目曲 : #4 「 10,000 Days (Wings, Pt. 2) 」
 3曲目とセットで2部編成となる17分の組曲で、尻上がりにドラマチックな盛り上がりを見せます。 この曲はメイナードが1万日にも及ぶ闘病生活を送った彼の母に捧げた曲らしい。