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VNV Nation


 イギリス出身、現在はドイツを拠点に活動するフューチャーポップ・ユニット。名実共にこのジャンルの代名詞的存在です。 メンバーはボーカル Ronan Harris とドラマー Mark Jackson の2人ですが、 2人ともルックスに割と無頓着というか(逆にそれを狙ってるんだろうな・・・)、 マジで普通に普通のオッサン。ボーカルもしまらない酒焼けボイス(笑)  オレたちはシンセの音で勝負するのだ!と言わんばかりです。

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1995年
1st アルバム
Advance And Follow

 私が持っているのは2001年のリイシュー盤です。 (準備中)

Praise The Fallen

 "Futurepop" というジャンル用語がまだ世に定着する以前のアルバム2枚目。 1st アルバム同様、近年の作品を一通り網羅した後、遡って聴いてみたのですが、 なるほど、確かにフューチャーポップ開花前夜のダーク系 EBM といった面持ちの作品であります。 次作以降と比べるとメロディーに甘みが足りなく、ボーカル Ronan Harris の歌心も発展途上。 硬質ビートで攻めたてる #6 「 Ascension 」 や #8 「 Burnout 」 あたりは、 Terror EBM の領域に片足突っ込んだような不気味さが支配的で、 Futurepop という音楽ジャンルが他でもなく Industrial / EBM 畑から派生したものであることを改めて認識させられます。 初期作品だけにサウンド・プロダクションの質が後発のそれより劣るし、 4つ打ちキックでダムダム言いっぱなしのリズムアプローチがやや単調な印象を生んでいるのですが、 でも・・・この EBM 臭むき出しの無骨さがまたイィですなぁ!とか思った管理人は、VNV 国家の忠実な僕でござる。


1998年
2nd アルバム
注目曲 : #9 「 Solitary 」
 7分半と一番長い曲ですが、サビのメロディーの感動成分が多く、次作以降の音楽性を先取りしたサウンドになっています。



1999年
3rd アルバム
推薦盤
Empires

 フューチャーポップ界を代表する傑作として名高い 3rd アルバム。 そもそもフューチャーポップのサウンドは、トランス + シンセポップ + EBM と表現されますが、日本ではまだまだ馴染みの無いジャンル用語ですね。 特徴としては、@ 気持ち良く踊れるボムボムの4つ打ちダンスビートに、A 哀愁 or ややダークな雰囲気とメロディー、 そして B ピポピポってな、フューチャーポップっぽい装飾的なシンセ音 (説明になってねぇ・・・)。 てか、この音は言葉では説明しにくいので、各自で確かめて下さい(笑)  さてこのアルバムですが、冒頭のインスト曲、あと6曲目のバラード(?)を除いて、正統派フューチャーポップ満載。 同業他社アーティストと比べて音数自体は少ないのですが、前作には乏しかった感動的なメロディーが素晴らしく、 悲しいワタアメのような哀愁コード進行の連続につぐ連続です。ほぼ全編ノリノリなのも最高。 どの曲もシンセ・サウンド主体で引っ張る分、ボーカルの歌メロのインパクトは薄く、作曲する際に先にシンセトラックを作って後から適当に歌メロを乗っけてるんじゃないかな〜と思えますが、 でもこれが彼らのスタイルなんだと思います。
注目曲 : #5 「 Fragments 」
 非メロディアスなボーカル+高速ビートの硬派ズムズムチューン。ディストーションかかりまくったスネア音の嵐でカッコイイです。

Futureperfect

 4th アルバム。欧州を中心に6万枚を超えるセールスを記録したとかで、 おそらく正統派フューチャーポップ・アルバムでは最も売れた作品ではないかと想像します。 サウンド・プロダクションは最近の作品と比較しても遜色無いレベルまで完全に垢抜け、 前作で確立したサウンドを軸にハウス/テクノ、バラード、そしてインスト曲と様々交えた多彩で華やかなフューチャーポップ・ワールドを展開。 もともと彼らの特色でもあったクラシック音楽の要素にも一段と磨きがかかり、全編シンセストリング使いまくりです。 #4 「 Liebestod 」 はコンピューター上で構築したリアルな弦楽四重奏。 #7 「 Genesis 」 や #11 「 Beloved 」 といった派手派手チューンと非ダンストラックとのテイスト差が激しく、 彼らの作品の中では最も大味な感じがするので、個人的には 3rd や 5th の方が好きですが、 1曲1曲のクオリティーは抜群に高く、最高傑作の呼び声も高いのも納得の一枚です。


2002年
4th アルバム
注目曲 : #7 「 Genesis 」
 シングル曲。フューチャーポップのお手本とでも言うべき哀愁シンセメロにタイトなノリノリリズム。この手のリスナーのツボを確実についてくる感じで、これはハマリマス。



2005年
5th アルバム
推薦盤
Matter + Form

 5th アルバムは従来のサウンド形式から2歩も3歩も外に出て、脱フューチャーポップ化が顕著になった意欲作。 本作でも4つ打ちキックのダンストラックは多いのですが、その中でも正統派フューチャーポップと呼べそうな曲は2、3曲程度で、3rd 『 Empire 』 の頃の音使いとは別物です。 アルバム中盤のストイックなダンスメドレーや、メジャーコードを伴って8ビートのリズムで展開する #3 「 Arena 」 や #11 「 Perpetual 」 はまさに新境地。 この他に幻想的なアンビエント曲あり、切ないバラード曲あり、しかも何気にインスト曲がアルバムの約半数を占めていて Ronan Harris のオッサン声がなかなか聞けなかったりと意外や意外。 それでも VNV 国家の VNV 国家たる美メロや洗練されたシンセサウンド、そしてピアノやストリングスを駆使したクラシカルなアレンジは健在で、 彼らのセールスポイントが失われていないのが嬉しいところ。 全体としての統一感こそ欠けるものの、踊るメランコリアに終始することなく、アクティヴかつ明快な世界観を繰り広げる、捨て曲無しの傑作アルバムです。
注目曲 : #9 「 Homeward 」
  既聴の VNV Nation の曲では一番お気に入り。彼らにしては珍しく Ronan Harris の歌メロ先に有りきな感じ。サビは勿論いいんですが、単音シンベで進むAメロもシブい。

Judgement

 Futurepop 界の旗手としてもはや不動の地位を築いた感のある彼らの 6th アルバムは、これまた満足度の高い一枚。 キラキラ電子音のアルペジオが感動的な文字通りの #1 「 Prelude 」 で幕を開け、 その後もノリノリなダンス系あり、静かなインスト系ありと、前作 『 Matter + Form 』 の発展させた楽曲が並びますが、 全体としてもう少しストイックで硬派なイメージでしょうか。 Hocico ばりのダークアンビエントな不気味さが新鮮な #4 「 Descent 」 から、マイナーコードの高速ダンストラックの #5 「 Momentum 」、 そして今作一ハイスピードなエレクトロ・ロック #6 「 Nemesis 」 までの中盤3曲の流れが、アルバム全体の印象を決定付けているんだと思います。 #9 「 Carry You 」 あたりは王道的なフューチャーポップ曲ですが、やはり甘い美メロでボムボム跳ねていた 3rd 『 Empires 』 の頃の面影は無く、 前作に増してリズムアプローチがロックの領域に接近。管理人はロック畑出身なので、クオリティさえ高ければこれはこれで OK なのです。 でも行き過ぎて DAF みたいになるのだけは勘弁ね(笑)


2007年
6th アルバム
注目曲 : #6 「 Nemesis 」
 音は無論全部シンセなんだけどノリが実にロック的で、音数の少なさがパンキッシュ。中盤で飛び出すシンセギターみたいなリフに並々ならぬロック魂を感じますね。



2009年
7th アルバム
Of Faith, Power And Glory

 快調なペースで走る VNV 国家様の、 ライブ音源やリミックス・未公開音源を収録した DVD 付きボックス・セット 『 Reformation 1 』 を挟んでのスタジオ7作目は、 前々作 『 Matter + Form 』 で確立したダンス&ロック併用路線を順当に継承した作風。 #2 「 Sentinel 」 のサビの開放的な飛翔感、#3 「 Tomorrow Never Comes 」 のピアノ音による印象的なリフレイン、 #4 「 The Great Divide 」 の爽快な8ビートのドライブ感、そこから一転して #5 「 Ghost 」 で滲み出る悲壮的なシンセストリングス&トリップホップ的なアレンジといった風に、 各曲ともツボを確実に押さえた粒ぞろいな内容ながらも、 昔どこかで聴いたような焼き直し的な曲調も少なくなく、『 Matter + Form 』 をもう一枚作りました的な冒険しない手堅さが、良くも悪くも期待を裏切らないんだよなあ。 突出したキラートラックが見当たらないこともあって第一印象はマイルドな地味盤でしたが、それでも何だかんだでリピートを誘われてしまうあたりは VNV マジックの底力。 今回もしっかり良作でした。
注目曲 : #7 「 Defiant 」
 単純明快なメジャーコードで突っ走るはっちゃけ感がイイ。VNV 国家景気ええなあ!