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White Zombie


 85年結成、ニューヨークの地下から現れた死霊ロック軍団4人組。 バンド名は 1932 年の米国のホラー映画 『 White Zombie 』 からそのまんま拝借。 キワモノルックスのボーカル Rob Zombie が絶対的なフロントマンですが、紅一点ベーシストの存在感もなかなか。 初期はアンダーグラウンド限定の人気でしたが、メジャーに移籍してからは世界的なスターへと成長しました。 ところが 98年に発表した Rob のソロ・アルバムが大ヒットすると、Rob がバンドを組むことに魅力を感じなくなって一抜けた♪ バンドは翌年解散してしまいました。

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1992年
3rd アルバム
La Sexorcisto: Devil Music Vol.1

 出世作 3rd アルバム。メンバーは自分達のサウンドを 「 KISS とハードコア・パンクからの影響を掛け合わせたもの」 と表現していますが、 ごもっとも。オレ的にはこれは「邪悪にチャラくなったスマパン」です。晴れてメジャー移籍、その第一弾とはいえ、 全編を塗りこめるジャンク色には彼らのルーツ、すなわちニューヨーク・アングラ・シーンらしさが現れているし、 場所は違えどシアトルの Melvins にも近い臭いがします。オルタナ/グランジ・ブームに乗ってメジャーに進出して人気を博した彼らは、 メジャーとアングラの境界線が不明確になりつつあった当時の象徴的存在でしょう。横ノリ・グルーヴに Rob Zombie のラップ的なダミ声が乗っかるスタイルは、 ミクスチャー・ロック的な側面もあり。最初から最後まで生演奏主体で、この時点では後のインダストリアル色は希薄ですが、 サンプリングは過剰なまでに施されており、ニュースの音声とか意味不明なセリフがイントロや曲中に散りばめられています。 これがわざとクサイというか、チープというか、とにかく必然性に乏しいんですよね。サンプリングで作られた短い SE が3つもあるし。 イラネー。Skinny Puppy や Ministry の神がかったサンプリング・センスと比べると雲泥の差ですな。 曲調がどれも似たり寄ったりで起伏に乏しいので、一枚の作品としては相当ダルい。しかし不協和音の使い方や一工夫凝らしたドラミングなど、 随所でセンスがキラリと光ります。まあ、グランジ系として捉えれば十分聴けるアルバム。グランジって基本的にダルいですからねえ(オイ)
注目曲 : #4 「 Black Sunshine 」
 シングル曲。唯一の疾走系でノリノリ。

Astro-Creep: 2000

 スタジオ・アルバムとしては最終作となる 4th アルバム。大ヒットを記録したバンドの代表作です。 ギターサウンドのグランジっぽさは薄まり、メタル度がアップ。 加えてインダス度のアップは特筆すべき要素で、エフェクトをかけたり電子音を散りばめたりとサイバー感満載。 相変わらずクサいサンプリングも健在健在。サンプリングなしの前奏なんか考えられません(笑) 無論いかがわしい B級感は否めませんが、 良い意味でそれも含めて他でもないホワゾン・ブランドが確立されていると思います。 Rob の歌唱も迫力が付いただけでなく、前作と違って明快にメロディーを追っています。 硬質なリズムトラックと明快なギターリフで攻める #1 「 Electric Head Pt.1 (The Agony) 」 と、 パンクメタルな疾走感でロブ・ゾンビらしく盛り上がる #2 「 Super-Charger Heaven 」 の2曲は強力なキラートラック。 それ以降はやや中だるみしますが、その辺を差し引いてもこれは売れるのも納得ですね。 エンターテイメント性が高いので、硬派なファンからは「インダストリアル系」と認められないこともあるようですが、 それはともかく、この時代を象徴する優れた作品です。


1995年
4th アルバム
注目曲 : #11 「 Blood, Milk And Sky 」
 リズムトラックが民族音楽的な最終曲。スローでヘヴィなリフが反復される前半部を経て、後半からはエスニックなムードに移行。彼らにしては珍しいアート感覚。こういうタイプの最終曲は好みです。