John McGeoch
ジョン・マクガフ
ジョン・マクガフはスコットランドが輩出した80年代を代表する英国ギタリストの一人であると同時に、数多くのバンド遍歴を持ったニューウェイヴ界の渡り鳥だ。
彼はいわゆるゴス／ポジパン系のミュージシャンとして語られることは無いが、常にその手のジャンルの周辺で活躍していたし、ポジパン人脈との繋がりも少なくなかった。
管理人の個人的にもお気に入りのギタリストということで、簡単に彼のキャリアを総括してみたい。12歳でギターをやり始めて地元のバンドで演奏していたジョン・マクガフは、 1971年16歳のときに家族と一緒にロンドンに移住し、1975年に名門マンチェスター大学に入学、そこで写真や絵画などのアートを学んでいった。 そんな頃、彼は友人からハワード・ディヴォートの紹介を受ける。 当時ちょうど Buzzcocks を脱退し、3コードの単純なパンクサウンドを超えた新しい音楽を探し求めていたハワード・ディヴォートは、 ジョン・マクガフと意気投合、ハワードの他の仲間と共に1977年に Magazine を結成する。
Magazine 時代に残した3つのアルバムはいずれも高評価を受けたが、 これと同時進行してジョン・マクガフは、1979年頃から歌舞伎メイク男スティーヴ・ストレンジ率いるニューロマ系エレポップ・バンド Visage の活動に参加して、 ギターとサックスを担当するようになる。 しかし、「オレはこんなネタっぽいニューロマには馴染めねぇ！」って思ったのか（？）、Visage での作品は1つに留めてバンドを離脱することを決意。 これに代わって彼は1980年から Siouxsie And The Banshees のツアーに同行するようになり、彼らの 3rd 『 Kaleidoscope 』 にもゲスト参加する。 1981年の Magazine の解散に伴い、彼は Siouxsie And The Banshees での活動に本腰を入れるようになり、 4th 『 Juju 』 ではバンドの正式ギタリストとしてクレジット。 スージー（Vo）、バッジー（d）、スティーヴン・セヴリン（b）と共に、黄金期バンシーズの幕開けである。 実際のところ、ジョン・マクガフという人物は 「元バンシーズのギタリスト」 として最も認知されており、 その存在感溢れるギタープレイは後世のミュージシャンに大きな影響を及ぼしている。
1982年のバンシーズの 5th 『 A Kiss In The Dreamhouse 』 でも持ち前の変幻自在なギタープレーを発揮していたジョン・マクガフだったが、 この頃から連日のツアーに疲弊して精神疾患を患うようになり、アルコール中毒も重なってバンドを脱退。 1983年には元 Magazine のメンバーとスコットランド人脈からなる新バンド The Armoury Show を結成。 学生時代に培った才能を生かしてアートワークを手掛けたりもしたが、音楽の方はパッとせず数年間不遇の時代が続く。 心機一転、1986年からはジョン・ライドンの Public Image Ltd. に加入し、彼らの 6th 『 Happy? 』 以降の3作品に参加。 そのまま1992年の解散までバンドに携わり、結果としてジョン・ライドンを除いて最も長い期間 Public Image Ltd. に在籍したメンバーとなった。
PIL 解散後も音楽活動を続けていたジョン・マクガフだったが、 80年代の華々しい活躍ぶりとは裏腹に、90年代に入ってからは話題から外れることが多くなってしまったようだ。 ひょっとしたら、ポストパンク時代のギタリストとしての印象が強すぎて、マンチェ／シューゲイザー以降の新しい時代の波に乗れなかったのかもしれない。 彼は2004年の3月に睡眠中に死亡しているところを発見され、48年の短い生涯を終えたのである。
以上がジョン・マクガフの簡単なバイオグラフィーだが、上述した以外にも彼が参加したバンドは幾つかあり、まさにニューウェイヴ界の渡り鳥ギタリストだ。 それだけに関連人物も多くなるので、写真付きのポジパン人脈以外にも参考までに有名ミュージシャンを何人か挙げてみたい。
Siouxsie Sioux （スージー・スー）言わずと知れたゴス界の女王、Siouxsie & the Banshees のボーカル。馬が崖を駆け下りるがごときジョン・マクガフの独特ギタープレー（←スージー談）には絶大な信頼を寄せていた。
Budgie （バッジー）Siouxsie & the Banshees のドラマー兼、スージーの旦那（離婚済み）。バンシーズの 3rd アルバム 〜 5th アルバム の頃の同僚だった。
Steven Severin （スティーヴン・セヴリン）Siouxsie & the Banshees のベーシスト。同じくバンシーズの 3rd アルバム 〜 5th アルバム の頃の同僚。
John Lydon （ジョン・ライドン）Sex Pistols を脱退して PIL を結成。1986年以降、PIL でジョン・マクガフと共に活動した。ジョン・ライドンはポジパンじゃないけど、PIL の 3rd アルバム 『 Flowers Of Romance 』 が微妙にゴスっぽいから、図々しく写真付き。
Tony James （トニー・ジェイムズ）元 Generation X のベーシストで、Sigue Sigue Sputnik を結成、その後 The Sisters Of Mercy に加入した人物。ジョン・マクガフは Generation X の最終作 『 Kiss Me Deadly 』 にゲスト参加している。
Howard Devoto （ハワード・ディヴォート）
元 Buzzcocks のボーカル。ジョン・マクガフらと Magazine を立ち上げた。
Barry Adamson （バリー・アダムソン）
Buzzcocks 出身。Magazine 、Visage 時代の同僚。この人はニック・ケイヴとも共演している。
Dave Formula （デイヴ・フォーミュラ）
同じく Magazine 、Visage 時代の同僚。
John Doyle （ジョン・ドイル）
Magazine 、The Armoury Show 時代の同僚。
Midge Ure （ミッジ・ユーロ）
Visage のギタリスト兼バックボーカルだったが、後にリードシンガーとして Ultravox に加入して黄金時代を築く。
Steve Strange （スティーヴ・ストレンジ）
Visage を率いる化粧男。
Bruce Smith （ブルース・スミス）
元 The Pop Group のドラマー。PIL 時代の同僚。
Lu Edmonds （ルー・エドモンズ）
元 The Damned のギタリスト。PIL 時代の同僚。
Richard Jobson （リチャード・ジョブソン）
元 The Skids のボーカル。The Armoury Show 時代の同僚。
Russell Webb （ラッセル・ウェブ）
元 The Skids のベーシスト。The Armoury Show 時代の同僚。末期 PIL のライブメンバーでもあった。
・・・以上、ぶっちゃけ管理人も知らない人ばっかり。
でもハワード・ディヴォートとミッジ・ユーロあたりは有名かな。